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ふるさとの文化財探訪 第123回

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大分県九重町

『ふるさとの天然記念物への関心を』

文化財調査委員 清水 武則

天然記念物という言葉を聞かれたことがあると思います。ドイツの学者フンボルドが1800年(寛政12年)に使ったのが最初だと言われています。彼が南アメリカ大陸の紀行記でベネズエラの直径9mの樹木について言及した時に使われました。日本では、1906年に東大の三好学が1906年(明治39年)に「名木の伐滅並びに其保存の必要」という論文の中で「天然記念物」という訳を使ったのが最初だとされます。
天然記念物と言った場合、一般に思い浮かぶのは国の天然記念物でしょう。大分県で最初の天然の国の天然記念物に指定されたのは宇佐市のオオサンショウウオです。九重町では九重山のコケモモ群落が該当します。しかし、飯田に住む私にとって複雑なのは、九重連山に咲くミヤマキリシマは、「大船山のミヤマキリシマ群落」として該当する市町村が竹田市だけになっていることです。つまり、該当市町村から九重町は外されています。私は納得がいきません。ちなみに、ミヤマキリシマという名は、NHKドラマ「らんまん」の主人公のモデルになった牧野富太郎が名付けたものです。小学校卒で後に東大の理学博士となり日本の植物学の基礎を築いた人です。
さて、国の天然記念物は「文化財保護法」に基づき文部科学大臣が指定します。指定対象は、動物、植物、地質鉱物と天然保護地区の4種類あります。今年の2月21日現在でその数は1040件に達しています。しかし、天然記念物は国だけではなく、県や地方自治体が文化財保護条例に基づき自分たちの天然記念物を指定できます。大分県の天然記念物、九重町の天然記念物というのが当然あるわけです。私は前回の投稿で、冨迫の大イチョウを取り上げ保護の必要性を訴えましたが、幸いなことに町と地元の方々のご協力により、樹の周りに出てきていた沢山の脇木を取り除き栄養が上に行くようになりました。枯れかかっていた上部が元気になってくれれば幸いです。町指定や県指定の貴重な樹木があることを知っている町民の方は少ないと思いますが、こうした樹木を絶やさず次世代に引き継ぐことは故郷の原風景を維持するために大切なことであり、関係各位には心から感謝申し上げます。

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