「どうして、そんなことを尋ねられるのだろう?合否に関係あるのかな?」
日本労働組合総連合会(連合)が実施した就職差別に関する調査(2023年)によると、「本籍地や出生地に関する質問(43.6%)」、「家族に関する質問(37.2%)」など、就職(採用の合否)とは無関係と思える「答え」を多くの企業が求めていることが分かりました。
人生の岐路とも言える就職の場面で、「この企業で働きたい」という真摯な意欲に応えるとき、「求めている資格、技術、度量などが足りなかった」などの努力で改善できる理由ではなく、出身地や家族構成を合否の決定の理由とすることは、差別や排除の意識に準じた理不尽な対応です。
このように、「身元を調べようとする」動きは未だに根強く残っています。調査会社などを頼り、他人の出しゅつじ自などを勝手に調査し、結婚や就職の際に利用する重大な人権侵害とも言える身元調査が依然として後を絶ちません。
2011(平成23)年、東京都内の法律事務所が、全国各地の探偵社や調査会社からの依頼を受け、「大量」の戸籍謄本等の不正取得を繰り返した事件が発生しました。また、大分県内でも委任状の偽造による同様の事件が起きています。
この大分県内の事件は、「本人通知制度」への登録によって不正が明らかになり、差別の拡大と個人情報の流出を防ぐことにつながりました。この制度は、身元を調べようとする動きに対抗する手段として大きな効力があるため、登録者を増やすことで、「不要な身元調査(差別)を許さない」という風土が作られます。
超高齢化社会や働き手(若者)の減少によって、日常社会の様々な場面で、これまでとは違う対応による社会基盤の形成が求められています。このような状況下にあって、出自にこだわり「他者の人生の合否」を決める必要はありません。
問合せ:人権啓発センター
【電話】22-8017(市役所別館1階)
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