■「骨粗鬆症について」
放射線科・技師長 濱田 彰(はまだあきら)
○骨粗鬆症とは
骨粗鬆症は、骨の強度が低下し、骨折するリスクが大きくなる病気です。
骨は、古い骨を壊して(骨吸収)、そこに新しい骨を作る(骨形成)という過程をくり返しています。そのバランスが崩れることで、骨粗鬆症となります。国内の骨粗鬆症患者は約1280万人といわれ、治療患者は約30%に満たないといわれ、1年後の継続率は約45%程度と報告されています。
○当院での活動
日本骨粗鬆症学会は骨粗鬆症の「治療率」と「治療継続率」を向上させる骨粗鬆症リエゾンサービス(OLS)という活動を推進しており、「初発の骨折を防ぎ、骨折の連鎖を断つ」ことを目指しています。当院もOLSチームを立ち上げ、院内はもとより市内医療機関に対し骨密度検査の提案と実施を積極的に行い、その結果を詳細に検討し、多職種協働で骨折防止ケアを進め、骨粗鬆症治療の提案などの脆弱骨折の予防に努め、“院内骨折ゼロ市民の骨を守る”OLS活動を行っています。
○当院における検査と診断
・骨密度検査
骨粗鬆症で注意が必要なのは、背骨の骨折や股関節の骨折です。当院においても腰椎、大腿骨近位部を骨密度測定装置にて検査します。検査は寝ているだけで数分で終わり、その日内に結果がわかります。
・胸腰椎・股関節X線写真
骨密度で骨粗鬆症の診断が行われますが、背骨の骨折や股関節の骨折がすでに存在すると、それだけで骨粗鬆症の診断になります。『いつのまにか骨折』に注意が必要です。
・血液検査
血液検査にて骨代謝マーカーという値を測定することにより、骨粗鬆症のタイプ診断、治療効果判定が可能です。骨吸収と骨形成のバランスを測定し、患者様に合った治療方法を選択することが可能になりました。
骨粗鬆症治療について当院では患者様の年齢・骨密度・生活のスタイル等を考慮し、注射か内服薬での治療を行っております。患者様の継続しやすい治療方法を選択できます。
○まずは予防から
骨の形成に役立つといわれる栄養素(カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなど)を積極的に摂りましょう。加齢による食の変化によって栄養バランスが不足する傾向がみられます。意識的に、規則的に栄養バランスの良い食事を心がけましょう。
適度な運動も必要です。骨は、負荷がかかるほど骨をつくる細胞が活発になり、強くなる性質があります。散歩や階段の昇降運動など日常生活の中でできる運動量を増やしましょう。ご自身の体の状態にあわせて無理なく続けることが大切です。
骨粗鬆症に関しては出前講座等も行っております。お気軽にお問い合わせください。
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