文字サイズ
自治体の皆さまへ

山香病院だより vol.195

21/36

大分県杵築市

■『自分でトイレに行けるようになって早く帰りたい』を実現するために
リハビリテーション科長 篠原美穂(しのはらみほ)

○排泄(はいせつ)チームが活動しています
「入院したらいろんな管(くだ)をつけられて…」と話題にあがる「管」の一つに「おしっこの管」があります。これは「尿道留置カテーテル」といい、腹部や骨盤内の手術、全身麻酔の手術の後に管(カテーテル)を尿道から直接膀胱(ぼうこう)に入れておき体の外の集尿袋に尿を排出させるものです(図1)。
この方法は脊髄の損傷、脳卒中、前立腺肥大症などによって尿が出にくくなった場合にも導入することがあります。また、薬の調整のために厳密に尿量を測る時や、痛みが強くて動けない時などでも用いられます。
このカテーテルの管理や交換においては専門的な知識、技術が必要です。そしてそれ以上に難しいのはこの管理をいつまで続けるのかという見極めです。膀胱の力を使わない、トイレに行けないといったことが長くなれば、治療が終わりカテーテルを外した後に尿がもれやすくなった、頻尿(何度も行きたくなる)になった、トイレまで歩いていく力がなくなった、など介助を要す状態を招くことがしばしばあります。
このような実態をうけて、国は尿道留置カテーテルの早期離脱のための専門知識を有する多職種でのチームの設置を2016年度に保険収載しました。当院でも1年がかりで看護師を研修に派遣するとともに各種検査機器や手順の整備を行い、泌尿器科医師、看護師、リハビリの専門職で排尿ケアチームを構成し2017年より活動を開始しています(図2)。
なお、2019年からは排便ケアチームも立ちあげて排泄ケアの充実に取り組んでいます。チームが稼働する前はカテーテルの留置日数の平均は26日であり個人差も多くみられましたが、この数年は平均12日前後でカテーテルを抜去し疾病や外傷の治療と並行して自力での排尿、トイレの利用を支援し早期退院につなげています。
2020年にチームの対象となる病棟の要件が拡大された事でこの数年でチームを設置する病院が全国に広がってきています。
※図は本紙13ページをご覧ください。

○骨盤底筋運動のすすめ
カテーテルの離脱後に、尿がもれやすくなった、近くなった(頻尿)という方の多くが入院前から排尿に何らかの支障がみられています。お腹に力を入れたらチョロっともれる、トイレに座ろうとした途端にでてしまう、などといったことはありませんか?出前講座やコンチネンスサロンさんとの共催(2024年7月16日・山香庁舎で開催)を通して、地域の皆様に排泄障害やケアについての情報提供や尿もれを予防する骨盤底筋運動講座を行っております。また、骨盤底筋運動の動画を病院ホームページにアップしております。
※保険収載とは、新しい医薬品や医療機器、医療行為などが公的な健康保険の適用対象として認められることを指します。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU