文字サイズ
自治体の皆さまへ

山香病院だより vol.196

14/35

大分県杵築市

■睡眠時無呼吸症候群(SAS:サス)とは?
臨床検査科 副検査技師長 山脇晴美(やまわきはるみ)

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に何度も呼吸が止まる病気です。肥満や小さい顎、舌根が喉に落ち込むことなどが原因で気道が狭くなり、酸素不足や睡眠の質の低下を引き起こします。睡眠は脳と身体を休息させるためのものですが、呼吸が止まることで酸素が不足し、心拍数が上がります。本人は気付かなくても、脳や身体には大きな負担がかかり、断続的に覚醒する状態になります。
この結果、強い眠気や倦怠感、集中力低下などが引き起こされ、日中の活動に影響を及ぼします。さらに、この状態が続くと、高血圧、脳卒中、心疾患、糖尿病などのリスクが高まります。日本では、SASの潜在患者数が940万人以上と推定され、30~60歳代の約7人に1人がSASを患っていますが、治療を受けている患者は約73万人に留まっています。SASは早期発見と治療が重要です。

■診断方法
SASの診断は段階的に行われます。まず、自宅で行える簡易検査があります。これは、指と鼻にセンサーを取り付けて一晩中、呼吸パターンや血液中の酸素濃度を測定します。簡易検査の結果次第では、より詳しい検査が必要となります。その際には、終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査が行われます。病院で一泊入院し、睡眠中の脳波、眼球運動、筋電図、呼吸活動、心電図、酸素濃度、いびき音などを詳細に記録します。これらのデータを分析することで、SASの有無や重症度が診断され、治療方法の決定に役立ちます。

■治療方法
SASの治療法として最も効果的なのは、経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP:シーパップ)です。専用の装置とマスクを用いて、一定の圧力で空気を鼻から送り込み、気道を開いた状態に保ちます。これにより、無呼吸や低呼吸を防ぎ、睡眠の質を向上させます。CPAP療法は継続的な使用が必要ですが、適切に使用することで健康状態の改善が期待できます。その他にも、生活習慣の改善(減量、禁煙、睡眠体位の工夫)、手術、歯科装具などの治療法もあります。

■当院のSASチームの取り組み
当院では、SASの診断と治療に力を入れており、医師、看護師、臨床検査技師、管理栄養士などが連携して患者さんをサポートしています。初診から検査、治療、フォローアップまで一貫して対応し、個々の患者さんに合わせた最適な治療方法をご提案しています。CPAP治療でお困りの方には、臨床検査技師が使用状況の管理、定期フォローアップ、問題解決の支援を行います。

■SAS検査を勧める方
下記のような症状やリスク要因がある方は、SAS検査を受けることをお勧めします。
・睡眠中の大きないびきや無呼吸
・日中の強い眠気や疲労感
・頻繁な夜間覚醒
・起床時の頭痛
・高血圧・糖尿病・不整脈・脳卒中などの既往がある方
・肥満や首が太く短い方
・小顎症など顎の小さい方

SASは適切な治療を行うことで、生活の質を大幅に改善することができます。心当たりのある方は、ぜひ医療機関にご相談ください。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU