■口腔ケアで誤嚥性肺炎を予防しましょう
高齢になると歯の数や唾液量が減少し、さらに飲み込む能力が低下するなど口腔機能が低下することで誤嚥性肺炎が発生しやすくなります。その予防には、口腔ケアが重要です。なぜなら大人の口の中は歯をよく磨く人でも1000億、ほとんど磨かない人では1兆個(便1グラムの20〜30倍)の細菌がいるからです。誤嚥性肺炎は日本人の死因の6位(2022年)とされ増加しています。特に90〜94歳の高齢者では死因の1位は誤嚥性肺炎を含む肺炎です。通常、食物は口から食道を通過して胃に入りますが、食道を通らずに気管から肺に入ってしまうことがあり、このことを誤嚥と呼びます。高齢者は飲み込む機能が低下し、さらに誤って気管に入ったときに咳をして排出する力も弱くなり、口腔内の細菌が誤って肺に入りやすくなります。そして誤嚥によって細菌が肺へ侵入すると、細菌が増殖して肺に炎症がおこります。これが誤嚥性肺炎です。口腔内の唾液や食物中の細菌数が多いと、当然誤嚥性肺炎発症のリスクは高くなります。したがって口腔内を清潔に保つことが大切です。たとえ食事をしていなくても口腔内では粘膜の老廃物、痰などの汚れは溜まりますし、その際は唾液量も減少しているためかえって細菌は増殖しやすくなります。口腔内ケアはそのような細菌増殖を減らし、誤嚥性肺炎のリスクを下げるのに役立ちます。また口腔内ケアによって、舌やくちびるなどの口腔機能も改善します。そのような取り組みで食べる量が増え、栄養状態の改善が図られれば、免疫機能の向上にもつながるでしょう。食後はもちろん、起床時、就寝前の歯磨きが重要です。口腔ケアを考えてみませんか。当院では歯科衛生士が常駐し、地域の歯科医と連携してお口の健康にも力を入れています。
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