■来る多死社会に向き合うために
DX(ディーエックス)。皆さんはこの言葉を聞いたことがあるでしょうか。DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略で、デジタル技術によって社会制度や組織文化などを変革していくことを指します。
コロナ禍で浮き彫りになった医療や行政の紙依存。いまだに医療情報のやりとりはFAXなどの印刷物に頼っています。カルテは病院ごとに独立しており、お薬手帳は紙が主流で、救急搬送時の情報は電話で伝えられています。いまだに全国的に情報を一元管理できるシステムは存在していません。
そこで、DXを通じて医療の質を高めるための組織を立ち上げました。「大分医療DX推進会議―UniTreat―」は、純粋に医療DXを推進するためすべてボランティアで医師や医療系学生、エンジニア、医系技官等が活動しています。超高齢化、医療従事者不足、医療費増大など多岐にわたる課題が存在しますが、団塊の世代が75歳以上となる2025年以降、年間死亡者数が150万人を超える「多死社会」がくるとされています。竹田市ではすでにそれが顕在化していると日々痛感しています。
多死社会では、医療機関だけでなく介護、消防、行政等との多機関連携による情報共有の仕組みが必要です。DX的解決策として、医療情報の「標準化」と「集約」があります。全国的に情報を一元管理できるシステムの構築は、紙ベースの業務を削減し、労働世代の負担を軽減、医療の質の向上に寄与する可能性を秘めています。
DXは喫緊の社会課題に対応するうえで不可欠です。そのため、日々DXの正しい理解を啓発し続けています。しかし、これは一人では困難です。皆さま一人ひとりと一緒に向き合っていければ幸いです。
これからも、地域の皆さまのためになる医療を提供できるよう、医師として励んでまいります。
問合せ:竹田医師会病院 内科 救急科 津村
【電話】63-3241
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