10月20日(金)の国の文化審議会で、田染真中の「朝日岩屋」と田染小崎の「夕日岩屋」について、登録記念物(名勝地関係)に登録するに相応しいとの答申がありました。2件は近く官報告示を経て、正式に登録される予定です。
朝日岩屋・夕日岩屋は、田染真中・田染小崎の境に並ぶ岩峰群につくられた六郷満山の霊場で、朝日の昇る東側を望むことから朝日岩屋、夕日の沈む西側を望むことから夕日岩屋とそれぞれ名付けられました。南北朝時代に制作された六郷満山寺院のリスト「建武の注文案」を見ると、喜久山(現在の真木大堂)の末寺として、その名が見えます。
江戸時代以降、特殊な形をした岩峰は観賞の対象となっていき、間戸ン岩に月がかかる景色は、田染八景の一つ「間戸山月」にも数えられて、絵画や漢詩の題材となり、近代以降は耶馬渓になぞらえ、田染耶馬の一部として観賞されてきました。
■荘園の景色を一望「夕日岩屋」
間戸ン岩から西側を望む夕日岩屋からは、田染荘小崎の農村景観が一望でき、四季折々の風景が多くの人に愛されています。
昭和50年代からスタートした田染荘の調査以降、中世の風景を感じられる場所として、特に著名になりました。最近では、水を張った水田と夕日とのコラボレーションが絶景として知られ、多くのカメラマンが訪れています。
■登録記念物(名勝地関係)の数は、九州最多に
豊後高田市は美しい景観が多数ある地域で、近年その価値を改めて調査し、保護すべき景勝地の指定・登録を増やしています。今回で国が登録する名勝地の数は、真玉海岸・鍋山(南屏峡)に続いて3件目・4件目となり、九州でも最多となります。
■地域の信仰を伝える「朝日岩屋」
間戸ン岩から東側を望む朝日岩屋からは、間戸集落や田染盆地が見えます。
かつて間戸集落で採掘されていた田染石で造られた御堂があり、中には高山寺から飛んできたとされる焼仏が祀られています。
江戸時代に制作された「島原藩領田染組村絵図(大分県指定有形文化財)」の間戸村絵図に詳細に描かれるなど、ランドマークとしても利用されてきました。
■評価を受ける豊後高田市の景観
他にも豊後高田市では、「天念寺耶馬及び無動寺耶馬」と「中山仙境(夷谷)」が国の名勝に指定され、「真玉海岸」と「鍋山(南屏峡)」が国の登録記念物(名勝地関係)に登録されています。
また、重要文化的景観「田染荘小崎の農村景観」や昭和の町の街並みの景観などもあり、多くの人に高く評価をされています。
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