気象のプロフェッショナル「大分地方気象台」の職員さんに聞きました!
天気予報や桜の開花などの情報を提供してくれている「気象台」。そんな気象台は、減災のために欠かすことのできない大雨や台風、地震などの防災気象情報を発信しています。
梅雨時期は、大雨による洪水や土砂災害などが1年の中で最も多発する時期です。そんな梅雨時期に備え、大雨が発生するメカニズムや大雨に備えた注意点などについて、「気象庁大分地方気象台」の土砂災害気象官の中村政文さんと防災指導係の中内彩那さんにお伺いしました。
■令和5年の大雨(7月10日)は、豊後高田市の観測史上第1位
7月7日から10日にかけて、大陸から対馬海峡付近に停滞する梅雨前線に向かって太平洋高気圧の縁を回る、暖かく湿った空気の流れ込みが続きました。
この影響で、九州北部地方では前線の活動が活発となり、広い範囲で大雨となりました。特に10日未明から昼前にかけて、大分県北部・西部に線状降水帯が発生し、県内では日田市と中津市に大雨特別警報を発表するなど記録的な大雨となりました。
7月10日の朝には、アメダス豊後高田で観測史上1位となる1時間に61・5ミリの降水量を観測しました。
■梅雨入り・梅雨明け時期と、気象庁がよく言葉にする「平年値」
九州北部地方(山口県を含む)の梅雨入りの平年は6月4日頃、梅雨明けは7月19日頃です。
平年値とは「1991年から2020年までの30年平均値」のことで10年ごとに更新され、次は2031年に新しい平年値(2001年から2030年まで)となります。
■梅雨末期に大雨となりやすいのは?
梅雨の末期は、太平洋高気圧が次第に勢力を強め、九州北部地方に梅雨前線が停滞しやすくなります。
太平洋高気圧の縁を回る、暖かく湿った空気が梅雨前線に向かって流れ込み、前線の活動が活発となり大雨となることが多くなります。
■大雨時は、河川の氾濫に注意!
1時間あたり30ミリ以上の雨(激しい雨、バケツをひっくり返したような雨)が降るような場合は注意が必要です。
河川の周辺で激しい雨や非常に激しい雨が数時間降ると、河川の水位が急激に高くなることがあります。大きな河川でも、猛烈な雨が降ると氾濫することがあります。
また、今いる場所で雨が降っていなくても、河川の上流で激しい雨が降ると、下流では水位が急激に上昇し、危険な状況となる場合があります。
▽雨の強さと降り方
※また、10以上20ミリ未満は「やや強い雨」、20以上30ミリ未満は「強い雨」と表現します。
▽河川の増水による氾濫
内水氾濫:排水能力を超える多量の雨が降り、排水が追い付かず土地や建物が水に浸かる現象です。
外水氾濫:大雨によって、河川を流れる水が大幅に増え、堤防が決壊したり、堤防から水があふれ出す現象です。
■大雨時の土砂災害の危険性
総降水量が200ミリを超えてくると土砂災害が発生しやすいと言われています。
土砂災害は、河川の増水と異なり、災害発生の危険性がわかりづらいのが特徴です。
梅雨の時期は、雨の降る天気が続き、雨水が地中に溜まり、地盤が緩みます。
このような状態にある崖などに、一時的に強い雨が降ると、地中の土砂が崩れやすくなり、がけ崩れなどの土砂災害が発生します。また、渓流等では、土砂が一気に流れる土石流が発生します。
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