■河内名所図会を歩く(14) ~江戸時代の景観と古民家(前編)~
江戸時代の『河内名所図会』で描かれた寺社などの挿絵は、写真のない時代に現地調査に基づく正確さが評価されています。一方で、周囲に描かれた民家は簡略化され、茅葺(かやぶき)や瓦葺(かわらぶき)などの屋根の違いが分かる程度です。挿絵のテーマでなく、江戸時代は当たり前の景観だったので、省略されたのでしょう。
市域の江戸時代以来の歴史的景観は、市街化が進むなか、旧村や旧街道沿いを中心に残っています。本市では、八尾らしい良好な景観で、歴史的・文化的価値が高いものや市民に親しまれているもの、地域のシンボルとなるものなどを登録する、八尾市景観資源登録制度「八尾きらり」を令和4年度から始めました。令和5年度は18件の古民家が登録されました。登録された建物のうち8件が、天井の低い中二階に格子のある小さな虫籠窓(むしこまど)が特徴的な「つし二階」です。
久宝寺寺内町を歩くと、江戸時代に建てられた、つし二階を数多く目にすることができます。図会の挿絵に描かれた顕証寺の長屋門がある北側の通りは「八尾きらり」に登録された、つし二階の古民家もあり、これらが立ち並ぶ歴史的景観を今なお感じることができます。(つづく)
問合せ:観光・文化財課
【電話】924・8555【FAX】924・3995
<この記事についてアンケートにご協力ください。>