■和泉の地場産業の一つ「ガラス細工」
和泉市の地場産業としてガラス製造・細工があるのを知っていますか?
明治時代に始まったといわれている「いずみガラス」では、ランプワークという技法を用いて細工をしています。様ざまな色のガラス棒を石油バーナーの火力で溶かし、動物や宝船などの置物やガラス玉、アクセサリーなどを作ります。
すべて手作業で作られるガラス細工は、きらきらと輝き、また匠の技も光る逸品です。世界に一つしかない貴重なガラス細工を手に取ってみませんか。
◆いずみガラスの歴史-約150年続く伝統-
明治時代、和泉市域のガラス職人である神山喜代松(かみやまきよまつ)氏が、ガラスの色玉を手掛けたことから始まったといわれています。
その後、ガラス生地(棒)の製造も始まり、大正時代には、ガラス細工品は輸出産業として発達し、ガラス生地の製造が盛んに行われました。
熟練した技術をもつ職人が手で加工することによって、和泉市の伝統産業として引き継がれています。
いずみガラスの作品は、長年の経験による技で、一つひとつ心を込めて作り出され、ガラスでありながら暖かみがあることが特徴です。希少価値が高く、多くの愛好家の支持を得ています。
■伝承の技
-2人の匠にお話を伺いました-
◆匠の技/佐竹ガラス(株)(幸二丁目11-30【電話】41・0146)
[佐竹保彦さん]
世界で唯一の低温度で熔ける軟質ガラスの製造、販売を行っており、日本のシェア100%を誇る「佐竹ガラス株式会社」社長。
▽創業~ガラス細工へ
佐竹ガラスの創業は昭和2年(1927年)です。
和泉市は人造真珠が盛んでそれとともにガラス細工を始める人も多かったのですが、使用するバーナーも高熱のものが必要でランニングコストも多くかかるため、ガラスは人造真珠に比べて加工することが難しく、次第にガラス細工をやめていく業者が多くなってきました。
▽現在の課題
現在は従業員が11人おり、若い従業員もいれば40年以上この会社で働いてくれている人もいます。
しかし全体的には年齢層は高めで、できれば若い世代に入ってきてもらい、和泉市の伝統工芸を伝承していきたいですが、難しい状況です。ガラス細工は高温の中の作業も多く、肉体労働のため労働環境が非常に厳しく、求人募集をするものの応募者は少ない状況です。そのため、技術の引継ぎという側面では厳しくなってきている状況です。しかし、一度この業界に入るとすぐにやめる人は少なく、長く勤めてくれています。
最近入った若い従業員は、約1年くらいになります。ガラス棒の製作には炉にガラスを入れて溶かし、引き延ばし切っていくという工程がありますが、初めはなかなかできるものではありません。それでも若い人は吸収も早く、また熱意もあるため3か月もすれば慣れてきてこなせるようになっています。
▽ガラス細工を知ってほしい
ガラス細工の教室を行っていますが、コロナ禍で教室生がかなり減りました。しかし、今はようやくコロナも落ち着いてきて、生徒数も戻りつつあります。
今までのように観光客や一般の教室生が増えて、和泉のガラス細工を知ってもらう機会が増えることに期待をしています。観光客が和泉市に寄った際に伝統工芸を体験できる場所として教室を続けていきたいと思います。
▽いずみガラスの展望
後継者や技術の引継ぎも大事ですが、いずみガラスをまず知ってもらう必要があると思っています。いずみガラスに興味を持ってもらいガラス細工を体験してもらうことが「次につなげる」ということだと思っています。
▽ガラス細工の教室(佐竹ガラス)
営業時間:午前9時〜正午、午後1時〜5時
※土曜日は午前10時~
定休日:日曜日・祝日(代休日あり)
※第1~第4土曜日は教室とSHOPのみ営業
※見学・体験は要電話予約(佐竹ガラスホームページからも申込可)
※内容や料金などの詳細は、電話または佐竹ガラスホームページ(二次元コードは本紙またはPDF版4ページを参照)でご確認ください。
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