■「島の彩りを食卓に」
石垣島に移住し陶芸活動
陶芸作家
立津 葉子(たてつ ようこ)さん(50歳)
「2、3年のつもり」で大阪から南へ約1600kmの石垣島(沖縄県石垣市)に移住して21年。夫が生まれ育った地で開いた手作りの陶芸工房で、南国の自然を感じてもらえる使い勝手のよい器を目指して焼き続けています。
◇「陶芸をきちんと学びたい」デザイナーから転身
前の仕事は高校生の頃からの夢だったグラフィックデザイナー。しかし「デジタルで作り出す色や線に限界を感じ、一つ一つ手作りでモノづくりがしたい」と思うようになり、そんなときに訪れたのが石垣島でした。
サンゴ礁に囲まれ、1年をとおして温暖な気候と豊かな自然に感動。窯元が多い島で「趣味で習っていた陶芸をきちんと学びたい」と移住を決めたのは29歳のときでした。
◇12年間の修行後に独立「島いろ窯」開窯(かいよう)
20か所を超える窯元は島外からの移住者が多く、自由な発想で作陶できる環境も気に入りました。「素人の私に教えてくれる窯元が見つからない中、南島焼の窯元の奈美・ロリマーさんが『将来、陶芸で独立するなら』との約束で受け入れてくれました」。
「学ぶことが多くて」と修行は12年間にも。「その間に結婚し、3人の子育てとの両立は大変でした」が、平成27年に独立。工房作りでは夫の友人たちが敷地の整地やコンクリートを流す作業を手伝ってくれ、1年がかりで念願の「島いろ窯」を開きました。2年前に建てた2つ目の工房も夫が一から手掛けました。
◇島の自然こだわり作陶 海を感じるブルーの大皿も
島内には良質の粘土や釉薬(ゆうやく)の原材料があり、「石垣島のいろいろな彩りを食卓で感じてほしい」と普段使いの食器を中心に作陶。成形した器は電気窯に窯詰めを行い、1200〜1220度で焼き上げます。
窯出しまで3〜4日の工程。窯の中の環境によって仕上がりの色や風合いが変わるといい、「窯に詰める場所などを考えながら焼き上げます」。工房に併設された店舗には透きとおったブルーの大皿や島の動植物が絵付けされたカップが並び、直接買い求めるファンや観光客が訪れています。注文の場合は3か月から半年待ちという人気で、今年3月に電気窯を増設しました。
気が付けば21年になる島暮らしにも「こうして居心地よく陶芸ができるのも多くの人の協力や応援があったから」と感謝。「器を気に入ってくれるお客様がいる限り、作り続けたい」と作陶に励んでいます。
◆私とふるさと
成田幼稚園と市立第五小学校、第六中学校に通い、通学路にはたくさんのソメイヨシノが植えられていました。
石垣島にも桜はありますが、種類が違います。帰省した昨年4月に久しぶりに満開のソメイヨシノを見ることができ、改めてその美しさに感動しました。
今も両親が暮らしており、年に1度は帰省。香里園駅前にあるなじみの美容室に30年も通い続けています。
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