■専門医インタビュー
大阪大学大学院医学系研究科
福原 慎一郎 招聘(しょうへい)准教授
瀧内 剛 特任准教授
※いずれも生殖医療専門医
◇卵子と精子の「老化」を防ぐ方法は無い
福原 慎一郎
招聘准教授
(現JCHO大阪病院診療部長)
器官制御外科学講座(泌尿器科学)
◇高齢の場合は出産に至るのが難しい
現実を知っておくことが重要
瀧内 剛
特任准教授
先端ゲノム医療学共同研究講座
―卵子と精子の「老化」を防ぐ方法はありますか。
福原:「老化」なので「若返る」方法はありません。強いて言うなら、肥満対策や過度な喫煙防止など健康的な生活を送ることに気をつければ、「悪化」を防ぐことにはなるでしょう。
―不妊治療患者の最近の傾向はどうですか。
瀧内:晩婚化の影響もあり、高齢化していると感じます。
日本で体外受精など生殖補助医療(自然妊娠に対してARTとも呼ばれます)を受けている年齢は39歳前後が最も多いのですが、これは世界的に見ても高いです。
―将来子どもを欲しいと思っている人が、卵子と精子の「老化」を正しく知ることについて、どう思われますか。
瀧内:年齢が上がると、不妊治療をしても出産に至るのが難しくなっていきます。例えば45歳で不妊治療を100回行っても、数回しか出産に至らないのです。その現実は若いうちから知っておくべきだと思います。
―加齢と共に妊娠しにくくなることについて、中学生や高校生でも知っておくべきだと思いますか。
福原:もちろんです。特に男性も、卵子と精子の質の低下が妊娠・出産に影響するという事を知っておくべきです。
―「高齢になると出産しにくい」ということは、多くの人が知っていると思うのですが。
瀧内:加齢と共に妊娠率・出産率が下がり、流産率が上がっていることは、今やかなり周知されていると感じます。その一方で、いまだに「体外受精を行えば30歳代になっても容易に妊娠・出産は可能」と思っている人に良く出会います。年齢による影響は最重要なのです。
福原:若い人たちが妊娠・出産することについて何か不安があるなら、それを解消したり、応援やサポートをしたりすることが、社会全体に求められているのだと思います。
「妊娠」「出産」に対する不安は社会全体でサポートを
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◇よくある問合せQandA
Q:対象となる治療や申請できる要件について教えてください。
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Q:寝屋川市へ転入する前に行った生殖補助医療は対象になりますか?
A:申請日において、寝屋川市に住民登録があることを要件としていますので、転入前に行った生殖補助医療も対象となります。ただし、他の自治体で助成を受けたものは対象外です。
問合せ:
記事全般…企画三課【電話】813・1146
助成制度…市民サービス部医療助成担当【電話】812・2363
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