■NPO法人日本ウミガメ協議会 事務局長
松宮 賢佑さん
◇まつみや けんすけ
愛知県の南知多ビーチランドで魚類・アザラシ・ウミガメなどを担当し5年間勤務後、動物系専門学校の専任講師などを経て平成27年に市内にある日本ウミガメ協議会事務局に入局。高知県むろと廃校水族館副館長なども兼務。招提元町在住。38歳。
まずはウミガメのことを知ってほしい。知ることが守ることにつながるんです。
日本沿岸の海域には3種のウミガメが生息する。このうち本州でも産卵するのがアカウミガメだ。「北太平洋に暮らしているアカウミガメにとって日本の砂浜は唯一の産卵場所なんですよ」。6月から8月はボランティアで活動する各地の個人や団体による海岸での産卵調査がピークを迎える。昼間に足跡を確認したり夜に見回りしたりするなど調査方法はさまざまだ。その情報を取りまとめ、年に1度、調査や保全に携わる300人以上が集まり語り合う日本ウミガメ会議を開催している。「ウミガメだけでなくウミガメを守るために汗をかいている人たちも好きなんですよ」と白い歯を見せる。
子どもの頃、旅好きの両親に連れられ頻繁に訪れた水族館の世界に魅了される。「高校1年の時には水族館でイルカショーのお兄さんになると言っていましたね」。専門学校進学後、インターン先の水族館でイルカショーに出てみたいと直訴した。異例ながらショーを手伝ったことからスカウトされ、水族館で働くという夢が実現。飼育担当になったことでウミガメと初めて向き合った。「仕事終わりの夜に近くの海岸で子ガメのふ化に遭遇しました。大海原へと旅立っていくその生き様にロマンを感じるようになったんです」
水族館での体験会やイベントも企画するうちに次世代を担う飼育員の育成や子どもたちと生き物をつなぐ仕事がしたいとの思いが募り退職。動物系専門学校で教鞭をとったり自然学校を立ち上げたりする中、学生時代の講師でもあった同協議会の会長から事務局長就任の誘いを受けた。「どの海岸にも接していない枚方に本部があるからこそ中立的な立場で各地での調査や保護活動を支援できるんです」
自身も毎年、和歌山の海岸で夜間にウミガメの調査を続け汗を流している。「まずはウミガメの生態を知ってほしい。それがウミガメや海の生態系を守ることにつながっていくんです」
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