■障がいのある人が地域で暮らすために
大阪教育大学 講師 今枝 史雄
2024年4月に、柏原市から少し離れていますが、大阪府立出来島支援学校が開校しました。大阪府立の高等学校の統廃合が進む中で、支援学校の数は増えていく傾向にあります。支援学校は障がいのある子どもたちの通う学校で、主に小学部、中学部、高等部が同じ敷地内にあることが多いです。支援学校が増えることは、子どもたち一人一人の教育的な要望に応えるための、多様な学びの場の整備につながっています。しかし、支援学校を卒業した子どもたちは、卒業後、支援学校の所在地ではなく、自分たちの生まれた地域で過ごすことが多いです。障がいのある人々が地域で暮らすため、学校時代にどのような関わりが必要なのでしょうか?
筆者は、障がいのある子どもたちを教える先生方とお話する時に、「子どもたちの大人になった姿を思い描くことが大切です。」とお伝えしています。子どもたちの今を見ることは大事なのですが、今教えていることが、大人になった時、自分たちの生まれた地域で暮らす時に、どのように役立っていくのかを考えることが大事です。筆者は成人を迎えた障がいのある方の保護者とよくお話します。その中で、「うちの子は趣味がないので休日に何もしないんです。」という相談をよく受けます。休日の使い方は人それぞれなのですが、休日が充実しないと仕事の充実にもつながりません。これは障がいの有無にかかわりません。そのため、「学校に通っている時から、何か好きなことを見つけましょう。『これが好き』って自信をもって伝えられるとなお良いですね。」とお伝えしています。地域で働くだけでなく、地域で取り組める趣味をもつことで、「地域で暮らす」になるのですね。障がいのある、なしにかかわらず、学校時代から「地域」を意識していけると良いですね。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>