■子宮頸(けい)がんと予防ワクチン接種について
産婦人科
主任部長 竹原 幹雄
子宮頸がんは、予防できる疾患であることを強く理解し、予防対策を確実に実施することが重要となりました。現在日本では、毎年約1万人が子宮頸がんに罹患(りかん)し、約2,800人が亡くなっています。以前は発症のピークが40〜50歳代でしたが、最近は20〜30歳代での罹患者が増えており、30歳代後半がピークとなっています。家庭的にも社会的にも大きな問題です。
子宮頸がんおよび子宮頸部異形成(前がん病変)の発症には、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が関与しているため、HPV感染予防が重要です。平成30年WHO(世界保健機関)は子宮頸がん排除のための行動を呼びかけました。全ての国で子宮頸がんの罹患率が4人/10万人/年未満(日本は現在14.7人)となることをめざしています。そのための2030年までの介入目標として(1)15歳までのHPVワクチン接種率を90%とする(2)35歳と45歳の子宮がん検診受診率を70%とする(3)罹患者の90%が治療を受けることができることを掲げました。世界における子宮頸がん罹患率の予測モデルによると、現行の検診を継続するのみでは罹患率は減少しません。HPVワクチンの接種率を80%以上とし、生涯2回の検診を70%以上の女性が受ければ、先進国では2060年ごろまでに、開発途上国では今世紀中にWHOの排除目標を達成できる可能性があります。HPVワクチンの子宮頸がんの予防効果について、スウェーデン、デンマークから17歳未満で接種すると発症率が86〜88%減少したことが報告され、接種年齢が若いほど予防効果が期待できます。
子宮頸がん予防ワクチン接種を行う医療機関については、市ホームページなどでご覧ください。
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