■どうなる?こうなる!相続登記
◇相続登記の申請義務についてのルール(令和6年4月1日施行)
相続などにより不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請を行う必要があります。また、遺産分割協議が行われた場合は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた登記を申請する必要があります。
いずれの場合も、正当な理由がないのに申請をしなかった場合には、10万円以下の過料の適用対象になります。
[ご注意!]
現在、相続登記されずに放置されている土地・建物も義務化の対象になります。
◇Column
「所有者不明土地」には、所有者が分かっていても転居などした際の住所などの変更登記が申請されておらず、連絡がつかない状態であるものも含まれます。「住所などの変更登記の申請」も、令和8年4月から義務化されることが決まっています。
◇相続登記に必要な書類
◇申請方法
不動産の所有者が亡くなった場合の登記手続きは、不動産の所在地の法務局(登記所)に申請して行います。手続きは、遺言書による相続や遺産分割協議による相続、法定された割合による相続など、ケースにより必要な登記や書類が異なります。申請手続きの際には、司法書士などの専門家に相談することもご検討ください。
不動産登記申請手続きは法務局ホームページをご覧ください。
■相続登記の申請義務QandA
Q:相続人が複数いて、遺産分割の話し合いが長引きそう。相続登記の申請もなかなかできそうにありません。
A:不動産を所有している人が亡くなった場合、その相続人の間で遺産分割の話し合いがまとまるまでは、全ての相続人が法律で決められた持ち分の割合で不動産を共有した状態になります。この状態を反映した相続登記を申請するとなると、法定相続人の範囲や法定相続分の割合を確定しなければならず、全ての相続人を把握するための戸籍謄本をはじめさまざまな資料を用意する必要があります。
そこで、より簡易に申請できるような仕組みである「相続人申告登記」という制度が新たに設けられ、令和6年4月1日に施行されることになりました。この制度では、登記簿上の所有者について相続が開始したことと自分が相続人であること(戸籍謄本などを提出)を各人(※)が法務局の登記官に申し出るだけで、申請義務を果たすことができます。
なお、相続人申告登記は不動産の権利関係を公示するものではありません。遺産分割が決定すればあらためてそれに基づく登記が必要です。
(※)1人の相続人が全員分をまとめて申し出ることも可能。
Q:親から土地を相続しました。ただ、使い道がなく手放したいのですが、引き取り手もいなくて登記も未申請のままになっています。
A:質問のような土地が所有者不明土地の予備軍になっているとも考えられます。そこで、「相続土地国庫帰属制度」が新たに設けられ、令和5年4月27日に施行されました。
これは、土地を相続した人が不要な土地を手放して国に引き渡すという制度です。制度利用は一定の要件を満たす土地に限られ、申請の際は審査手数料が必要です。また、法務局による審査で承認されると、申請者は10年分の土地管理費相当額である負担金を納付することになります。
■登録免許税の免税措置について(※1)
◇適用期間が延長・適用対象が拡充!
免税期間は令和7年3月31日まで
現在、以下のケースでは相続登記の際に課される「登録免許税」に関して免税措置が設けられています。
▽ケース1
相続により土地を取得した人が相続登記をしないで亡くなった場合の相続登記
▽ケース2
不動産の価額(※2)が100万円以下の土地に係る相続登記(相続人が受ける「所有権の保存の登記」(※3)を含む)
該当する場合は登録免許税を免税
(※1)租税特別措置法第84条の2の3に該当する場合。
(※2)土地の相続登記をする際の課税標準となる土地の価額。
(※3)所有権の登記がされていない不動産についての相続登記の方法。
ポイント:
・不動産の価額が「10万円以下」から「100万円以下」に引き上げられました!
・適用対象が全国の土地に拡充されました!
■さらに詳しく知りたいときは…
大阪法務局ホームページ
問合せ:
大阪法務局不動産登記部門【電話】06・6942・1012
大阪法務局池田出張所【電話】072・751・3342
相続土地国庫帰属制度については大阪法務局不動産登記部門【電話】06・6948・6336
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