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人権コラム「しあわせ」

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大阪府河南町

■人間の安全保障
●昨年6月23日 沖縄慰霊の日に沖縄県知事が読み上げた「平和宣言」に次の一節があります。「『平和』とは戦争や紛争のない状態にとどまらず、貧困、暴力、人権の抑圧、差別、環境破壊等がない、安らかで豊かな状態であり、本県が発信する『沖縄のこころ・チムグクル』には人間の尊厳を何よりも重く見る『人間の安全保障』も含まれます」

●そして、今年の5月3日憲法記念日。ロシアとウクライナ、イスラエルとパレスチナで続く二つの戦争を止めるために、必要なことは『人間の安全保障』の考え方だと訴える記事がありました。そこには「『国家の論理』のために『個人の人権』が犠牲になっても構わないとの理屈は通用しない」(宇野重規・東京大教授)「重要なのは『人間の安全保障』の視点である。軍事力で領土を守る『国家安全保障』に対して、人々の暮らしを多様な脅威から守る視点だ」とあります。(5月3日 毎日新聞社説「二つの戦争と平和憲法 市民の力で破壊止める時」)

●ここにある『人間の安全保障』とは、「人間一人ひとりに着目し、生存・生活・尊厳に対する広範かつ深刻な脅威から人々を守り、それぞれの持つ豊かな可能性を実現するために、保護と能力強化を通じて持続可能な個人の自立と社会づくりを促す考え方です。(略)実は、『人間の安全保障』の考え方は、『人間中心』『誰一人取り残さない』という包摂性の観点でSDGsにも反映されています。」(外務省ホームページより)

●二つの戦争では、今、この瞬間も、歯止めのきかない国家の暴力によって市民の命と尊厳が押しつぶされています。私たちはこの戦争に対してNOと声をあげ続けること。そして、『人間の安全保障』の観点に立ち、日々の暮らしの中で一人ひとりの人間を大切にする実践を積み上げていく必要があります。

●「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。」この一文でよく知られるユネスコ憲章には、つぎのような一文もあります。「ここに終わりを告げた恐るべき大戦争※は、人間の尊厳・平等・相互の尊重という民主主義の原理を否認し、これらの原理の代りに、無知と偏見を通じて人種の不平等という教養を広めることによって可能にされた戦争であった。」(※第二次世界大戦のこと)すなわち、人間の尊厳・平等・相互の尊重という民主主義の原理を否定し、無知と偏見を通じた人間の不平等こそがあの戦争を引き起こしたと人類は総括したのです。

●一人ひとりの人権を尊重し、偏見と差別を許さない『人間の安全保障』の観点に立った実践を日常から積み重ねていかなければならないのです。

池上 英明

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