人間が人間らしく生きるために、すべての人が等しく持っている権利、「人権」について考えるコラムです。
■高齢者の権利や尊厳を守る権利擁護について考えましょう
10月1日は、「国際高齢者デー」です。この日は、人々が高齢者問題について理解を深めるために制定された国際デーで、高齢者の社会的貢献と高齢化に伴う課題について考えるための日です。
日本では現在、高齢化率が29%を超えており、高齢者の貧困や人権侵害などの問題が顕在化しています。今後も高齢者の人数は増加すると見込まれ、高齢者の権利や尊厳を守る取り組みがますます重要となっています。
では、「高齢者の権利や尊厳を守る」とは、どのようなことを指すのでしょうか。
高齢者をはじめとする支援が必要な人たちの権利や尊厳を守り、その人らしい生活を支えることを『権利擁護』と言います。私たちがいつまでも一人の人間として尊重され、自分らしく生きていくためには、基本的人権を尊重する、権利擁護の理念が何より大切です。
年を重ねると、若い頃に比べて心身の機能が徐々に衰え、他者の支援を必要とする場面が増えてきます。このような状況で、高齢者が尊厳ある人生を送るためには、自己決定ができること、認知症になっても家族や地域が支え、自分らしい人生を全うできること、そして、他者から人権や財産を侵されないことが重要です。
高齢者の権利や尊厳を守り、高齢者自身が安心した生活を送るために、弁護士や司法書士、社会福祉士などによる成年後見制度や、金銭管理など日常的な困りごとを支援する日常生活自立支援事業があります。また、地域包括支援センターでは、保健師や社会福祉士、主任介護支援専門員などのチームアプローチで、その人らしい生活を支援しています。
これらの支援制度を適切に活用しながら、手助けが必要になった際も、高齢者が地域で安心して暮らし続けられるように、引き続き、社会全体で支え合う体制づくりをみんなで進めていきましょう。
国際高齢者デーを機に、改めて高齢者の権利や尊厳を守るための権利擁護について考えてみませんか。
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