人間が人間らしく生きるために、すべての人が等しく持っている権利、「人権」について考えるコラムです。
■知っていますか?「年金の日」
日本の公的年金制度は、日本国憲法第25条第2項に基づき、国が社会福祉、社会保障および公衆衛生の向上と増進に努めるという理念のもと、私たちの基本的人権を守るために設立されました。すべての人が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を持っており、公的年金制度はこの権利を保障するための重要な仕組みです。
「年金」と聞くと、多くの人が社会全体で高齢者などの生活を支える仕組みで、老後の生活資金として受け取れる「老齢年金」を思い浮かべると思います。しかし、人生には健康状態など予測不可能な要素が多く存在し、個人の蓄えだけでは十分な備えが難しい場合があります。そこで、公的年金制度は、このような不確実性に対処するために、老後の生活だけでなく、事故や病気、自分が亡くなった際に家族を支える役割も果たしています。つまり、公的年金制度は、人生におけるさまざまなリスクに対応するための社会保障制度の一つとして機能しているのです。
将来のリスクは予測が難しいため、加入者はあらかじめ保険料を納めることで、いざというときに公的年金として給付を受けられる仕組みが整っています。保険料は、社会全体でリスクを共有する資金となるため、公的年金制度が安定して機能するには、加入者全員が定期的に納付することが必要です。個々の家庭の経済的負担を軽減し、誰もが安心して生活できる社会を実現するためにも、公的年金制度の意義と役割を理解することが求められています。
毎年11月30日は、「年金の日」と定められており、公的年金制度の普及・啓発が実施されています。この日を機会に、公的年金制度が私たちの日常生活にどのように役立っているのかを改めて考えるとともに、自分や家族を守り、安心して生活するためにも、公的年金制度について理解を深め、将来の生活設計を考えてみませんか。
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