人間が人間らしく生きるために、すべての人が等しく持っている権利、「人権」について考えるコラムです。
■ヤングケアラーと子どもの権利
昨今、ヤングケアラーに対する社会の関心が高まっています。ヤングケアラーとは、本来、大人が担うべき家事や家族の世話、介護などを日常的に行っている子どものことをいいます。ヤングケアラーの問題自体は、以前から存在していましたが、特に近年、地域のつながりの希薄化、少子化や核家族化の進展、共働き世帯の増加、介護の担い手不足などから、そうしたケアを担わざるを得ない子どもが増加してきたと考えられます。
子どもが家事や家族の世話をすることは、ごく普通のことだと思われるかもしれません。しかし、ヤングケアラーは、本当なら享受できたはずの勉強に励む時間、部活に打ち込む時間、将来に思いを巡らせる時間、友人との他愛ない時間といった「子どもとしての時間」と引き換えに、家事や家族の世話をしていることがあります。
ケアが日常化することで、学業や友人関係に支障が出てしまうなど、個人の権利に重大な侵害が生じているにもかかわらず、家庭内のデリケートな問題のため、また、本人や家族に自覚がないなどの場合もあり、顕在化しづらいことから、支援を必要とするヤングケアラーに周りの人が気づくことが難しいとされています。
皆さんの周りにヤングケアラーかもしれないと気になる子どもはいませんか。潜在的なヤングケアラーの早期発見や支援には、学校や行政とともに、地域社会も一体となって取り組むことが不可欠です。子どもたちが困り事を話せるように、子どもたちの周りに信頼できる大人を増やしていくことが重要です。また、すべての人がヤングケアラーの問題を正しく理解し、「子どもの権利」について考えることが重要ではないでしょうか。
周りの人が気づき、声をかけ、手を差し伸べることで、ヤングケアラーが「自分は一人じゃない」「誰かに頼ってもいいんだ」と思える“子どもが子どもでいられる泉大津”を、ともにつくっていきましょう。市のホームページでは、ヤングケアラーの支援事例や相談窓口を紹介しています。
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