年間約1万1,000人が罹患し、3,000人近くが亡くなっている子宮頸がんの大部分は、性交渉によるハイリスクHPVというウィルスの感染が原因です。がんを起こす可能性のあるハイリスクHPVは13~15種類で女性の多くが一生に1回は感染するウィルスでもあります。
子宮頸がん予防ワクチンは、かなりの種類のHPV感染を防ぐことによって、子宮頸がんになるリスクを性交経験前なら約80~90%、性交経験後でも約50%と、大幅に低下させることが見込まれるため、世界中で接種されています。
このワクチンは2回又は3回(年齢によって異なります)接種しますが、自費では1回につき約3万円かかります。日本では小学6年生~高校1年生までの期間に、無料で受けられる定期接種ワクチンになっており、平成9年4/2~平成20年4/1生まれの女性はキャッチアップ接種の対象で令和7年3月までの期間限定ですが、無料で接種できます。
ワクチン接種時には接種部位の発赤や腫脹が生じることもありますが、1週間程度で軽快します。接種後に身体の痛みや歩行障害など多様な症状が出たと以前報道されましたが、名古屋市における24項目の症状についての大規模な調査で因果関係は認められませんでした。
なお、このワクチンは全種類のハイリスクHPVの感染を防げる訳ではありませんので大人になったら子宮頸がん検診は必ず定期的に受けてください。
平成9年4/2~平成20年4/1生まれの女性で接種機会を逃した方は、令和7年3月31日まで公費で接種できます。まだ1回も接種していない場合、令和6年9月までに接種を開始する必要がありますので、早めに受けてください。詳しくは保健事業だよりをご覧ください。
平松産婦人科クリニック院長 平松 惠三先生、船内クリニック院長 船内 洋司先生、副院長 船内 祐樹先生に寄稿いただきました。
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