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ふじいでら歴史紀行 211

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大阪府藤井寺市

【百舌鳥・古市古墳群 世界遺産登録5周年! 2.古墳の4つの形について】
古市古墳群には、いろいろな古墳の形があります。私たちが古墳と聞いて最初に思い浮かべるのは、前方後円墳(ぜんぽうこうえんふん)と呼ばれる形ではないでしょうか。古市古墳群で最大の応神天皇陵(おうじんてんのうりょう)(誉田御廟山(こんだごびょうやま))古墳をはじめ、大きな古墳は、みんな前方後円墳になっています。
古市古墳群の古墳の形には、これ以外に、前方部が短い形の帆立貝形墳(ほたてがいがたふん)、四角い形の方墳(ほうふん)、丸い形の円墳(えんぷん)があり、全部で4つの形が認められます。
皆さんは、4つの古墳の形の中で、古市古墳群で一番多いのは、どの形だと思いますか。前方後円墳が目立つのですが、実は、一番多いのは方墳で、もともと131基あった古市古墳群の古墳の中で、52基あります。ちなみに、前方後円墳は23基、帆立貝形墳は7基、円墳は39基、古墳の形が分からないもの10基となっています。
古墳の形は、日本列島にあった倭(わ)という国での、被葬者(ひそうしゃ)の身分の違いを表しています。4つの形の中で、前方後円墳という形が身分的に最上のものですが、その中でも、大きいほうが、より身分の高い人物が葬られています。つまり、墳丘長425メートルの応神天皇陵(誉田御廟山)古墳をはじめ、200メートルを超えるような大きな前方後円墳には、最も身分の高い歴代の大王が葬られたと考えられています。
百舌鳥・古市古墳群は、このような墳丘の形と大きさの多様性ということが、世界遺産としての価値の一つとされました。古墳時代の身分の違い(階層差)について、古墳の4つの形と大きさで表しているという点が評価されたのです。
ここで、前方後円墳という形について考えてみたいと思います。これは、円形と方形がくっついたような形をしています。大きなものが多いので、形を確認するには上空から見る必要があります。
「前方後円墳は、どうしてこんな形をしていると思うか」と、世界遺産学習などで質問したことがあります。後円部を上にして見ると、鍵穴の形、人の形、前方部を上にして見ると、壺の形といった、何かの形を模したとの答えがありました。
ちょっと考えてみたいと思います。現在、前方後円墳がこんな形だと見ることができるのは、私たちが空を飛べるからです。では、古墳時代の人々は空を飛べたでしょうか。飛べませんでした。自分たちが造った前方後円墳の形を直接見ることはなく、地上から、横から眺めていたのです。
直接形を見ることがないのに、どうしてこんな形の古墳が造られたのでしょうか。円形部分(後円部)は被葬者を埋葬する場所でした。これに対し、方形部分(前方部)は、もともと後円部へ至る通路などであったとも考えられています。いずれにしても、前方後円墳は、もとは使用目的に即して造られた古墳の形であるということが言えるのです。
(文化財保護課 新開義夫)

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