近年の医療技術の進歩により、令和5年時点で国内の平均寿命は男性81.09歳、女性87.14歳となるなど、人生100年時代を迎えようとしています。
豊中市では、高齢になっても誰もが住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを続けられるよう、支援の体制やサービスを充実させています。その内容と今後の取り組みを紹介します。
■元気な生活を取り戻す「豊中はつらつ教室」
「最近、近くのスーパーまで歩くのがしんどくなってきた」、「外出がおっくうで閉じこもりがちになってきた」など日常生活で困りごとを抱えていませんか。一人一人が望む元気な暮らしを取り戻せるよう、理学療法士など医療・福祉の専門職がチームとなって、週1回・3カ月間、集中的にサポートします。
○豊中はつらつ教室に参加された難波さんご夫妻にお話を聞きました
(妻・由美子さん)外出先で大だい腿たい骨こつ頚けい部ぶを骨折して約6週間入院し、退院後に自宅に手すりを付けるために市へ介護認定の申請をしたところ、後日、地域包括支援センター職員からこの教室を案内されました。教室では初めに、3カ月後どのようになりたいかを聞かれました。「正座ができるようになりたい」と答えたところ、その目標に合った運動メニューを個別対応で丁寧に教えてもらえました。おかげで、3カ月で日常生活に支障を感じなくなるまで回復しました。
(夫・健さん)妻が元気になる姿を見ていて、私も腰の痛みを改善したいと思い、妻が教室を卒業した後に自分も通うことにしました。教室で気付いたのは、自覚症状がなくても、日常生活で使っていない筋肉や関節が弱っているということです。元気なうちから生活に体操やストレッチなどを取り入れることが、今後の健康につながっていくと実感しました。
問い合わせ:健康推進課
【電話】6858-2236
■地域で見守り支え合う「オレンジカフェ」
認知症があっても安心して暮らすことができるよう、地域の会館や福祉施設などで、誰もが気軽に相談や話ができるオレンジカフェ(認知症カフェ)を月1回程度開いています。支える人、支えられる人の垣根を越えた地域とのつながりの場を提供しています。
○柴原地域包括支援センター職員の有馬さんにお話を聞きました
認知症地域支援推進員として、オレンジカフェの立ち上げ支援やカフェの活動に参加しています。オレンジカフェは、認知症であっても慣れ親しんだ場所や人とのつながりが途切れず、誰もが楽しく安心して過ごせる場、また悩みごとを相談できる場であることを大切にしています。参加者からは「いろんな方とお話ができて刺激になっている。毎回カフェに行くのを楽しみにしている」、ご家族からは「同じような境遇の人と話ができて、気持ちが楽になった」という声をいただいています。
問い合わせ:長寿安心課
【電話】6858-2865
■一人一人の望む生活を多様な介護サービスで支援
●居宅系サービス:「住み慣れた自宅で暮らしながらケアを受けたい」という人を支援します
・居宅療養管理指導、訪問看護、小規模多機能型居宅介護、訪問介護など、多様なサービスがあります。市内の居宅系サービスの受給率(第1号被保険者数に占めるサービス受給者数の割合)は、府内自治体の中で居宅療養管理指導は1位、訪問看護は2位など高い水準にあります。
○居宅療養管理指導
医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士などが自宅を訪問し、医療、歯、薬、栄養面での指導を行います。
○訪問看護
疾病などを抱えている人に対して、医師の指示のもと、看護師などが自宅を訪問して、療養上の世話や診療の補助を行います。
●入居系・施設系サービス:「介護保険施設などに入所してケアを受けたい」という人を支援します
・近年、介護ニーズの多様化により、市内における特定施設やグループホームの需要が高まっています。そのため、市は令和8年度までに、特定施設の定員数を300床、グループホームの定員数を54床、増床します。
○特定施設(有料老人ホームなど)
食事・洗濯・清掃などの生活支援、排せつ・入浴などの身体介護、機能訓練、レクリエーションなど数多くのサービスから、自分のライフスタイルに応じたものを選べます。介護度が低い状態から利用できる施設もあります。
○グループホーム
認知症の高齢者がグループとなって、介護スタッフの支援のもと、それぞれの能力に応じて掃除や料理などを役割分担しながら、家族のように共同生活ができます。
問い合わせ:長寿社会政策課
【電話】6858-2837
■豊中市老人介護者(家族)の会 会長の西野さんにお話を聞きました
子どもがまだ小さいときに義母の介護を経験しました。同じように介護で悩んでいる人に何かしたいという思いから、会の設立から36年にわたり、認知症にやさしいまち豊中をめざして、介護者の集いや認知症高齢者家族交流会などで介護相談の対応に携わってきました。
私が義母の介護をしていた当時は介護保険制度がありませんでした。今は、介護者や家族にとって良い時代になったなと感じています。一方で、介護に初めて直面する人にとっては戸惑うことばかりなので、経験者として、サービスの種類や利用方法なども伝えていく必要があると思っています。また、精神的なつらさは今も昔も変わりません。私もそうでしたが、人に話すことで少しでも楽になってもらえたらうれしいです。
集まっていろいろな話をすることが、“生きた介護辞書”として次の世代に介護体験を伝えていくことになります。一人で悩まずに、私たちの会(市社会福祉協議会内)や市役所、身近な事業所などに相談してください。
■気軽にご相談ください
市は市内を7つの生活圏域に分け、分室を含め14カ所の地域包括支援センターを設置しています。センターでは、ケアマネジャーや保健師・看護師・社会福祉士が、さまざまな支援制度やサービスの相談を受け付けています。
問い合わせ:地域包括支援センター
千里【電話】6155-1030
少路【電話】6854-7878
柴原【電話】6850-3451
中央【電話】6841-9384
緑地【電話】6867-0577
服部【電話】6865-1278
庄内【電話】6335-0787
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