■「誰か」のことじゃない。12月4日~10日人権週間
貝塚市人権啓発推進委員協議会(人権協)は、市民一人ひとりの人権意識の確立と高揚を図ることを目的に設立され、人権尊重のまちづくりを進める啓発活動を行っています。
■じんけん啓発セミナー 障害当事者からみた障害とは?障害はどこにあるの?
NPO法人自立生活センター・リアライズ会長:三井孝夫様
じんけん啓発セミナー(2月開催)に三井孝夫様をお招きし、障害当事者からみた障害についてお話しいただきました。
三井様は先天性骨形成不全症による移動機能障害で、5歳から車いすユーザー。2007年NPO法人リアライズ(現NPO法人自立生活センター・リアライズ)を設立。障害者の法制度、街づくりなどの権利擁護活動や、生活に必要な福祉サービスの創設、障害への理解を深めるための研修や講演を行うなど、その人らしい生活の実現と障害がある人も活躍できる地域づくりに取り組まれています。
◯講演概要
みなさん、出生前診断はご存知ですか。生まれてくる子どもに遺伝性の疾患があるかないかを調べ、障害があるとわかったとき適切な環境で迎えるために行われるものです。ところが、子どもに障害があるとわかった人の96%が中絶しており、今の日本では4%の人しか産もうと思えない。なぜ、そういう選択をしてしまわざるを得ないのか。
僕は小学校から大学まで、地域の学校に通いました。小学校入学時に差別があり、中学校では車いすを理由に希望のクラブに入れませんでした。高校では、入学の直前に先生から、「親が送迎すること、事故が起こっても責任を追及しないこと」の念書を書かないと入学を許可しないと言われました。
その時「なんでやねん」という気持ちと「あぁ、人生こんなもんやな」という諦めが入り混じった複雑な感情でした。
地域の学校を希望しても合理的配慮をしてもらえず、希望する学校に入れない人もいますが、本来は本人が自由に選択できる、ということが大切なんです。
例えば、移動の方法には走る、歩く、自転車、車などがあり、時間や体力などによって手段を選択しています。僕の手段は車いすです。そこで困ることは段差です。多くの障害者は、困ることが続くと自信を失い、外出したくなくなったり、なぜ障害者になったんだろうと障害をマイナスに考えるようになる。自分がこの社会で受け入れてもらえないと感じ、自分のことがどんどん嫌になるんですよね。そこで障害者たちが「自分たちが歩けないのはそのままでいいじゃないか、階段しかないというのが僕らにとっての障害だ」と訴えかけ、社会が変わっていくことが大切だという運動を起こしました。この運動で、交通バリアフリー法や障害者差別解消法などができました。障害者差別解消法の中で、できない人を排除しない社会、本人はそのままで環境を変えていく社会づくりの制度が法制化されてきました。
僕は地元で「泉大津TRY」という活動をしてきました。障害者差別解消法ができた時に泉大津市内の店に周知し、「お手伝いします」ステッカーを店頭に貼ってもらいました。障害者は店に入る時緊張する人が多いため、店側から「手伝うよ」と発信してもらえたらという取組みです。また、街頭募金と募金箱の設置によるバリアフリーのシステムづくり。市民のかたと一緒に街頭募金をする。店にも募金箱を設置してもらうことを前提にスロープを贈呈する。店にも主体となってもらい、また集まったお金で他の店にスロープを設置してもらう。NPO法人リアライズが仕組みをつくり、市民と事業者の協力を得て、三者が一緒になって街を変えていく。スロープ介助の仕方なども含め、最初の一歩を手伝うことで事業者にも積極的に考えていってほしいという思いで活動しています。
こうした活動は、障害がある子どもが生まれてきたときに、「おめでとう」と当たり前に言える社会をつくりたいという思いで続けてきました。命に重い軽いはないし、そんな差を社会によってつくられるのはおかしいからです。障害者も健常者がしていることを当たり前にできる社会であれば、障害があっても産もうとする人が増えるかもしれない。障害の有無に関わらず生まれてくるのは当たり前というような、そんな社会がやってくるんじゃないかと思います。
問合せ先:貝塚市人権啓発推進委員協議会事務局(人権政策課内)
【電話】072-433-7160
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