三島江は、古代の万葉集以来、和歌に多く詠まれた歌枕の地です。この地に鎮座する三島鴨神社は、大山祇神(おおやまづみのかみ)を淀川鎮守の神として祭ったことに始まり、慶長3(1598)年に、淀川の川中島から現在地に移ったと社伝に記されています。現在は、三島江・唐崎・柱本・西面の産土神(うぶすながみ)として地域の人々の信仰を集めています。
神社では、毎年10月の第4土曜日・日曜日に秋祭りが行われます。秋の収穫シーズンに、五穀豊穣を神に感謝する行事で、見どころは、土曜の夜(宵宮・よいみや)に三島江・柱本・西面から行列を組み、高張提灯(たかはりちょうちん)が宮入する献灯行事です。
祭りの1~2週間前から各地区では、提灯などの祭礼道具や組み立て手順の確認、宮入唄の練習を入念に行います。
いよいよ本番を迎える宵宮、日が暮れると各地区の公民館には氏子らが集合。8基の高張提灯の担ぎ手をはじめ、老若男女が行列を組み、神社に向かいます。このとき、「三島鴨神社宮入唄」を歌いながら、ゆっくりと練り歩きます。宮入唄は、全国各地に普及した「伊勢音頭」が元唄とされ、独特な節回しで地元の地名や出来事を歌詞に入れた郷土色豊かなものです。道中、掛け声や合いの手を入れ、祭りを盛り上げます。
約1時間後、神社の大鳥居の前に3地区が合流し、地区ごとに境内に入場。3地区の高張提灯が本殿の前に2列に並べ立てられ、無事、宮入が終了します。
秋夜を照らす高張提灯の光と三島江地域に響く歌声から風情が感じられる祭りで、地元に脈々と受け継がれてきた伝統行事です。
(しろあと歴史館)
<この記事についてアンケートにご協力ください。>