9月定例村議会において、2名の議員による一般質問が行われましたので、その概要についてお知らせします。
■森脇議員
問:森林所有者等との連携状況について
山のこと、森林のこと、林業のこと、話の機会のあるごとにその振興を願う一方、心配の種の尽きない話題や課題が出てきております。
現在において、上北山村内における森林所有者にとって、山を愛しつつも森林の価値を見出すことが出来ず、経営事業として林業はとても考えられない、という状況にあるのではないでしょうか。
森林の手入れに対しては、過去から幾多の優遇措置や補助金制度が利用されてきましたが、肝心の伐採・出材木の市場価格が低迷を続け資源循環には繋がりません。
その結果、従来から言われている標準伐期齢に達している立木等は、手入れ不十分のまま混雑密閉し、下草も繁らず光も入らないような放置林化の人工林が増加の傾向にあります。
しかしながら、林野率97%にも及ぶ本村にあって、森林の杉・桧の人工林の状態をそのままに放置することは出来ず、それが為の施策を立てる時期を逸してはならないものと思います。
去る7月25日、本村振興センターにおいて、吉野きたやま森林組合による「森林整備事業についての説明会」が久しぶりに開催されました。組合員・山主様のご出席は多くありませんでしたので、その内容等が村内に広まったとは思えませんが、少なくとも森林の保育整備施業を進めるうえで、従来にも勝る交付金等の事業が紹介されました。
美しい森林(もり)づくり基盤整備事業、奈良県森林環境税による混交林誘導整備事業、一部分森林環境税及び森林環境譲与税による間伐や木材利用・人材育成等の事業の説明を受けましたが、村にあっては既に事業化推進されてきたところですが、村内森林所有者には、あまり周知されているとは言えず、ましてや間伐保育整備や公益的機能の発揮等におけるその趣旨を理解いただくことに努めているようには思いません。
森林環境譲与税の制度の基となる森林経営管理法の概要では、主旨の締めくくりの言葉に、経済的に成り立たない森林については、「市町村が自ら経営管理を行う仕組みを構築する」とあります。
また、森林所有者・市町村の責務を明確化として、先ず
(1)森林所有者はその権限の属する森林について、適時に伐採、造林及び保育を実施することにより経営管理を行わなければならない。とあり、一方
(2)市町村は、その区域内に存する森林について、経営管理が円滑に行われるように法律に基づく措置、その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。とあります。
しかしながら今日、山を、森林を、林業を取り巻く環境を知るにつけ、多くの森林所有者は無関心でいたい、考えたくない、という心境にあると思われ、特に災害防止や林地保全等を考えるにつけ、村としては関知せざるを得ないものと思います。
これらの結論として、
(1)森林所有者はもとより村民の皆様に対して、山・森林の現況とそのことに関連する公益的機能の損失等の周知を広め、理解を深めるため広報等の配布
(2)村が主体となって、これらに対応する事業を推進するための施業策の構築
この2点についてお考えをお尋ねしたいと思います。
答:村長
森林の持つ広域的機能につきましては、林野庁や県農林部による案内や講演等により、昨今では多くの方に理解が深まってきているように考えております。
例えば、森林の持つ水源涵養機能などは、当村などにおいても身近に感じられる恩恵だと思っております。
その他にも、地球環境の保全や生物多様性の保全等がありますが、人間を得てして、そのような恩恵はあって当たり前な認識のようにも感じます。
しかしながら、例えば林業の手入れが行き届かず、結果、林内に日が差さず下草の成長が阻害されると、北山のような所では、激しい雨に見舞われると、表面の土が洗い出され、大きな崩壊に繋がる可能性が出てきます。
当然、樹木の成長や根の発達も阻害され砂防機能が低下することで、土砂災害が起こりやすくなります。
その他にも、山林の手入れ不足により公的機能の低下、喪失は深刻な問題であると認識しております。
上北山村の森林の現況と、手入れ不足による公益的機能損失等の周知を広め理解を深めるための広報等の配布でありますが、ごもっともなご提案であり、山を守るという事は、我々の生活環境を守るという事と同義であり、山林に関わる方々にさらにご協力をいただき、理解を深めていかなければならないと考えています。
林業を取り巻く環境は、相も変わらず厳しいものがございます。
そのような中、時代の要請として、林家の体力不足を補う意味では、村が主体となって健全な森林づくりに資する事業の推進はある意味責務だと認識しております。
ご提案である上北山村の森林の現況と課題への周知を、問題提起としてとらえ、その方策として、現在実施されている補助事業を含め、森林経営管理法の主旨に基づき、健全な森林づくりを目指すべくの事業を、今後検討、そして実施して参りたいと思います。
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