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議会だより 令和6年 第1回 山添村議会定例会の結果(3)

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奈良県山添村

・賛成・反対討論 奥谷和夫議員
令和6年度の予算を考える上で、村民の暮らしや営業が危機的状況になっていることを考慮する必要がある。令和5年度の消費者物価は41年ぶりの上昇率となっており、実質賃金は21箇月連続前年同月比割れの状態である。このような状況の中で村民の暮らしや営業を守ることが、新年度予算の編成に当たって求められている。
一般会計予算を評価する点は、乳幼児医療費無料化の取組など、本村の財政が厳しい中でも県下で最も進んだ施策を実施しているところである。本村は高校卒業までの医療費無料化を関西で最初に実施。そして今では20歳までの医療費無料化、学校給食費の無償化も実現している。その他、学校の耐震化、普通教室へのエアコン設置、トイレの改修と洋式化、高校への通学費の助成などを実施してきた。これに加え新年度から、こども園利用料の無料化を行い子育て世帯の負担軽減を図られている。これらの施策は、どれをとっても県下でトップクラスとなっている。
そして、コミュニティバスの運行では、東豊コミュニティバスに始まり、奈良市への実証運行、そして来年度は伊賀市への運行が実施される。村民の暮らし応援と利便性の向上にとって積極的な施策と評価する。
新年度一般会計予算でもう一点評価するのは、農林商工費と教育費で計上されている有機農業産地づくり推進の取組である。国や県の補助金や交付金を原資に、生産、流通、消費にわたって試行し、歳入歳出各750万円で取組むもので、これは山添分校の本校化への取組や持続可能な農業や環境、地域づくりを進める上で重要な取組と考える。
次にデジタル化推進関連予算が増額されている。地域情報アプリの導入、スマホ教室の実施などなど、高齢者も含めた利便性の向上にむけた取組は評価する。一方、行政のデジタル化の問題点として、マイナンバー制度の拡大である。特に、マイナンバー保険証については問題が多いと考える。現在マイナンバー保険証は、医療機関では4.6%しか使用されていない。これは現在の紙の保険証に比べて不便で、情報の紐づけの誤り、所得や医療情報のタイムラグがあり、そのことによって利用者の10割負担が発生したりしている。マイナンバー保険証の押し付けはやめるべきであり、紙の保険証は残すべきと考える。以上の点から、一般会計予算については賛成する。
続いて国民健康保険特別会計については、平成30年の国保の都道府県化に移行後、本村では6年間にわたって毎年一人当たり約3千円の引上げが行われ、新年度も含め実施から、なんと約2万円もの引上げとなっている。全国的には、この都道府県単位化が始まってから、1,736自治体の中で令和5年まででは999自治体が引上げとなっており、奈良県では84.6%の自治体が引上げとなっている。
国民健康保険は、もともとは自営業者や農家などを主な対象としていたが、今では健康保険に加入していない非正規労働者やフリーランス、75歳未満の年金生活者などが、加入者の多くを占めるようになっている。一般のサラリーマンに比べて低所得層が多いにもかかわらず、保険料の負担率は逆に重くなっており、物価高騰の中で、村民の暮らしは大変である。そのような状況のもとで、更に国保税を一人当たり5千5百98円も引上げることは、村民の納得が得られないと考える。以上の点を申し上げ、国民健康保険特別会計予算について反対する。
次に後期高齢者医療特別会計予算について、高齢者を75歳という年齢で分け、保険料や診療内容を差別する制度であり、医療費の高騰がそのまま保険料の引上げにつながるという仕組みとなっており、3つの大きな問題がある。
1.窓口負担の2倍化。平成20年に制度開始時は、窓口負担は原則1割負担。令和4年から対象者の20%にあたる人が2割負担となった。
2.保険料の値上げ。2年に一度引上げられ、大幅に引上げが続いている。本村は、後期高齢者にかかる医療費が県下でも低いにもかかわらず、県下全体で保険料が統一されているため、過大な村民負担となっている。制度導入当初の激変緩和措置もなくなり、村民負担が年々増えている。
3.保険証の廃止とマイナンバー保険証押し付けの問題。マイナ保険証への切り替えは全世代にとっても問題だが75歳以上の高齢者にとっては、文字通り死活的な大問題である。マイナンバー保険証を持てない、持たない人が「無保険」の扱いになれば、命にかかわる事態となる。後期高齢者医療制度では、前年の所得によって、窓口負担の割合が変わる。マイナンバー保険証のデーターと自治体の判定の内容が食い違い、1割負担の人が2割負担を請求されるなどの事態も起こっている。従来の保険証を廃止すべきではないと考え、即刻制度を廃止し、元の老人保健制度にもどすべきと考える。以上の理由から、後期高齢者医療特別会計予算について反対する。
次に介護保険特別会計について、介護保険料は3年ごとに改定され、本村でも第9期介護保険計画にもとづく介護保険料の改定の年になる。1箇月の基準月額が第7期、第8期と同水準となったものの、もともとの介護保険料が高いという問題がある。介護給付費準備基金の活用、一般会計から法定外の繰り入れを行うことなどで村民の負担軽減を図ることを求めて、介護保険特別会計予算について反対する。

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