■ブルーサファイア
「青い宝石」と呼ばれるカワセミは清流を好む生態から環境のバロメーターとされています。そのカワセミの目撃情報が利府でも聞かれました。目撃者は私ですが、町内で取材を受けていた際、川辺で青いキラキラとブルーサファイアのような色の物体が目の前を飛んでいきました。「なんだ、今のは?」と目をぱちくりさせていると、カメラマンが「私も午前中に見たのですが、カワセミじゃないでしょうか」と。それで、取材クルーと職員数名とじっと川面を見つめていたらパタパタとその美しい姿を見せてくれました。全員目撃です!
利府町の良さは何ですかと尋ねれば、多くの方から「自然」と返ってきます。しかし、その自然を構成する昆虫、動植物はどういった種類があるのかなどは不問になっていました。風景としての自然が好まれたのかもしれません。
自然の豊かさは、例えば葉山団地に広がる、利府町内で最も高い山「番ヶ森」。頂上の展望台から360度のパノラマが楽しめます。表松島「馬の背」は歩いていける日本三景松島。近年若い女性を中心にSNSで広がりを見せていて駐車場の整備も冬には完成しそうです。そこを45号線に向かって降りていけば希少種が数多く、東日本大震災からの自己回復力も評価されている干潟「櫃ヶ浦」があります。夏のイベント「こちら町長室」で子どもたちとカニや貝の生態を見学に行きました。住宅地には黙っていてもカブトムシやクワガタが飛んできて夏の到来を教えてくれます。残念ながら自然は好きだけど虫は嫌いという方もいらっしゃるので、利府の自然散策する際のガイドブックなどを本格的に作成して、親子で楽しめる自然や散策コースをマッピングしていきたいとも考えています。
世の中の動向として「ネイチャーポジティブ」という考え方が広がり始めています。「2020年を基準として、2030年までに自然の損失を食い止め、反転させ、2050年までに完全な回復を達成する」という世界的な社会目標で、より簡単に言えば「2030年には2020年よりも多くの自然を確保し、その後も回復を続けること」を指します(IUCN)。
「生ける者 遂に死ねる ものにあれば この世にある間は 楽しくをあらな」その昔、多賀城に赴任した大伴家持の父、旅人の歌です。はかなくもある人生を駆け抜ける最中、少々自然を満喫する時間を楽しめればと思います。
IUCN…国際自然保護連合(International Union for Conservation of Nature)
利府町長 熊谷 大(ゆたか)
<この記事についてアンケートにご協力ください。>