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【特集】鳥獣被害から地域と農作物を守る

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宮城県名取市

イノシシなどの野生鳥獣による農作物や人的被害が各地で発生しています。名取市では、このような被害を食い止める「名取市鳥獣被害対策実施隊」が活動しています。今号の巻頭特集では、知られざる隊員の活動の様子や本市の鳥獣被害対策をお伝えします。

■目を凝らし、鳥を追う
5月下旬の愛島地区。田植えが進む水田のあぜ道に名取市鳥獣被害対策実施隊・愛島分隊の4人の姿がありました。
「鳥獣捕獲許可」と書かれた腕章を身に着け、オレンジ色のベスト姿。散弾銃を構え、水田の周囲に目を凝らしていました。やがて「パーン」という音とともに白煙が風になびき鳥がその場から逃げていきました。
これは農作物に被害を与える鳥類を追い払ったり、捕獲したりする「予察捕獲」のひとこま。毎年、田植えシーズンの春と収穫期の秋の決められた時期に行われます。隊員たちはこの日、朝から夕方まで山側から海側へ移動しながら活動していました。
鳥獣被害対策実施隊は愛島と高舘の2つの分隊があり、隊員は合わせて20人。予察捕獲のほか、人里近くに野生鳥獣が現れた時には、捕獲などを行います。
愛島分隊長の島貫輝さん(42)は「銃を使うので緊張感を絶やさないように意識している。周囲に人がいないか、建物はないかを必ず確認してから引き金を引く」と話します。

■鳥獣被害の現状と対策
本紙P.2記載の左の写真は、高舘地区の田んぼで平成26年に撮影された写真です。イノシシによって水稲が踏み荒らされています。イノシシなど野生鳥獣による農業被害は、全国的に絶えない状況ですが、県南部では、数年前に発生した豚熱(豚やイノシシの感染症)などの影響で、イノシシ被害は少ない状況。ただ、今後の動向は読めず、引き続き野生鳥獣の出没を注視しています。自衛策として電気柵を畑などに設置(本紙P.2記載の左の写真右)している農業者も少なくありません。

■農作物被害、各地で
イノシシなどの野生鳥獣によって農作物が被害を受ける事案が全国で起きています。名取市内でも農作物が被害を受ける事案はたびたび発生。このような事案が発生した場合、鳥獣被害対策実施隊は市の要請に基づいて捕獲などを行います。
50年以上の経験を持つ隊員(79)は「私たちの活動は地域になくてはならないもの。とてもやりがいがある」と話します。
実施隊の活動の中核は70代や80代の人たち。愛島分隊長の島貫さんは、後継者不足に悩んでいるといい、「10年後、20年後には隊の存続が困難になる。活動を担う若手を迎えないと今後に支障が出る」と危機感を訴えます。
そのうえで「これまで隊の活動があまり知られていなかった。私たちの存在を知ってもらい、興味を持つ人を地道に増やしていきたい」と話します。

■担当者は語る
名取市役所で鳥獣被害対策を担当している農林水産課・園芸林業係の渡部悠斗(わたなべゆうと)主事に対策のポイントなどを聞きました。
鳥獣被害対策のポイントは、【捕獲】、【侵入を防ぐ】、【餌を与えない】の3点。
【捕獲】を担う名取市鳥獣被害対策実施隊は、後継者不足が課題となっています。隊員になれるのは、狩猟免許を取得後に猟友会の推薦を受けた人という条件があります。少しでも活動に興味がある方は、農林水産課にご相談ください。猟銃免許試験受験用講習会の受講費助成制度もあります。
【侵入を防ぐ】対策として、農業を営む方が電気柵や防護柵の設置をする場合は資材購入費の一部を補助する制度があります。
【餌を与えない】ことは、私たちが野生鳥獣に食べ物を与えたり、意図せずゴミなどを放置したりすることで、食べ物に依存してしまい、その結果、人里に出没し被害が発生していることが考えられます。

問合せ:農林水産課・園芸林業係
【電話】724-7186

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