昔から、冬至に欠かせない食材として親しまれてきたカボチャ。宮城県内で一番出荷量が多いのはここ栗原だということを、皆さんは知っていますか。
今月は、私たちの冬の健康を支えるカボチャについて紹介します。
◇種類がいろいろカボチャ
日本では、日本カボチャ、西洋カボチャ、ペポカボチャの3種類が生産されています。
日本カボチャは、1541年、現在の大分県に漂着したポルトガル船によって種が伝えられた説と、1573年から1592年の間にポルトガル人によって長崎に伝えられた説があります。カボチャという名前は、栽培していたカンボジアの国名が訛(なま)ったものといわれています。表面はごつごつとしていて縦溝があり、ねっとりとした食感や、甘味が少ないことが特徴です。
西洋カボチャは、幕末の1862年にアメリカから伝わり、北海道などの寒冷地で栽培が盛んになりました。表面はつるつるとしていて、ほくほくとした食感やしっかりとした甘味があることが特徴です。現在、日本で最も多く生産され、スーパーマーケットなどに流通しています。
ペポカボチャは、日本では1980年代に流通するようになりました。黄色やオレンジ色などさまざまな色や形があります。ズッキーニや金糸瓜(きんしうり)、おもちゃカボチャもペポカボチャの仲間です。
◇冬を乗り切る強い味方
冬至にカボチャを食べると、一年中健康に過ごすことができるといわれていますが、これは、カボチャに含まれる豊富な栄養素に由来しています。
カボチャの黄色い部分に含まれる成分β(ベータ)-カロテンは、体内でビタミンAに変わり、目や皮膚の粘膜を健康に保つ働きをします。また、β-カロテンには、体にとって有害な活性酸素を取り除く抗酸化作用がある他、免疫力を高める働きもあります。
夏に採れたカボチャを冬まで大切に保存しておき、栄養豊富なカボチャを食べて、厳しい寒さを乗り切ろうという昔からの生活の知恵が、今も根付いているのです。
[参考文献]株式会社絵本塾出版「まるごとかぼちゃ(絵図解やさい応援団)」
◎市内におけるカボチャの生産状況や栽培方法などについて、新みやぎ農業協同組合の門傳さんと佐藤さんに話を伺いました。
○新みやぎ農業協同組合 志波姫営農センター
次長 門傳 貴樹(もんでん たかき)さん
佐藤 敬隼(さとう たかと)さん
◇市内での生産状況と出荷状況
市内では、主に栗駒地区、金成地区、一迫地区、瀬峰地区の合計46戸の農家でカボチャの生産が行われ、新みやぎ農業協同組合に出荷しています。
中でも瀬峰地区は、種苗メーカーの試験農場があることから、積極的に作付けが行われてきたため、生産が盛んです。
新みやぎ農業協同組合では、瀬峰地区での生産拡大をきっかけに、市内全体へ栽培普及活動を行ってきました。
県内の農業協同組合の中で、カボチャの出荷量が最も多いのは、新みやぎ農業協同組合です。栗原を管内とする栗っこ地区が、そのうちの約85パーセントを占めています。
市内で生産されたカボチャは、一つ一つ出荷基準を満たしているか確認してから箱に入れ、東京や県内の市場に出荷しています。また、あやめの里やあぐりっこ金成といった市内の直売所、県内の農産物販売所にも出荷しています。
◇促制栽培と抑制栽培
カボチャの栽培方法(作型)は、促制栽培と抑制栽培の2種類があります。
促制栽培は春に種を撒いて、夏に収穫・出荷をします。抑制栽培は夏に種を撒いて、秋から冬にかけて収穫・出荷するため、冬至カボチャともいわれます。
カボチャの栽培には、十分な日照時間が必要なため、促制栽培の方が作りやすい傾向にあり、抑制栽培は、日照時間が少ない時季のため成長が遅く、きめ細やかな管理と栽培経験が求められます。
◇今後の供給に向けて
カボチャは、一つ一つの実が重い野菜で、ほとんどの工程を手作業で行わなければなりません。特に、収穫作業は長時間屈みながら行うため、足腰に大きな負担がかかります。また、高齢化によるリタイヤや後継者不足も課題です。
私たちは、野菜の安定供給に向けて日々懸命に努力する生産者のサポートを継続し、皆さんにおいしい農作物を届けるため、これからも頑張っていきます。
〈令和4年 県内のカボチャ出荷量(JA全農みやぎ調べ)〉
JA新みやぎ 89.585トン(栗っこ地区 75.775トン)
JAみやぎ登米 49.425トン
JA加美よつば 34.670トン
JAいしのまき 15.495トン
JA名取岩沼 9.234トン
JAみやぎ亘理 1.890トン
JA仙台 0.965トン
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