(229) 上戸(あがと)遺跡
上戸遺跡は、一迫地区嶋躰にある縄文時代から平安時代にかけての遺跡です。蛇行する迫川左岸の段丘上に位置しており、広さは東西約300メートル、南北約180メートルです。標高は65メートル前後で、北側はほぼ平坦で、南側は緩やかに傾斜しています。
迫川沿いには多くの遺跡が分布しており、上戸遺跡の周辺には巻堀遺跡や宝領A遺跡、宝領B遺跡、竹ノ花遺跡などがあります。
上戸遺跡は本格的な発掘調査が行われていないため、詳しいことは分かりませんが、縄文時代後期から弥生時代にかけての土器や石器などの他、古墳時代から平安時代にかけての土師器(はじき)や須恵器(すえき)と呼ばれる薄くて模様のない土器も見つかっており、長期にわたって利用されてきた場所と考えられます。
出土品の中には、他地域との交流を推定させる遺物も見られます。表面が赤く着色された奈良・平安時代の土師器の甕(かめ)で、8~9世紀に使用された「赤色球胴甕(せきしょくきゅうどうがめ)」と呼ばれるものです。この土器は主に岩手県北上市内の和賀川流域を中心とした北上川中流域の遺跡で出土しており、使用していたのは、中央政権に従わない人々とされていた「蝦夷(えみし)」であったと考えられています。
奈良・平安時代の上戸の人々は、和賀の人々と行き来をし、どんな関係を持ったのでしょうか。上戸遺跡で見つかった一つの土器が、当時の人々の交流の一端を示しています。
種別:市指定記念物(史跡)
指定日:平成16年11月24日
所在地:一迫字嶋躰門出
問合せ:教育部文化財保護課
【電話】42-3515
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