今回も前号に引き続き、8月号で答えきれなかった質問にお答えします!
◆第19回 銀河系の中心
Q.銀河系の中心に星が集まっているのはなぜですか?(宇宙も過疎化してるのですか?)
面白い質問ですね。まず、銀河の形を見てみましょう。中心が明るい渦のような形をしています。鳴門(なると)の渦潮や洗濯機の中のように、全体が回転しているのです。ただ回転しているだけでは、遠心力という力で星が外側に飛び出してしまいます。遠心力と反対に、中心へ引き寄せる力がなくてはこの形を保つことはできません。この中心に引き寄せる力の元がブラックホールだといわれています。宇宙にはたくさんの銀河がありますが、どれも中心にはブラックホールがあると思われています。そのブラックホールの大きさや数はいろいろですが、何しろ、光も外に逃さないほどの力でなんでも吸い込んでしまうブラックホールが中心にあるので、銀河が高速で回転しても渦巻の形を保っているのです。
でも、一つ問題が起こりました。ブラックホールを含めた天の川銀河のすべての星やチリ、ガスの重さを合計した結果、すべての物質が発生する重力だけでは中心に引き寄せる力が足りなくて、天の川銀河はバラバラに飛び散ってしまうという結論でした。そこで、目には見えない物質であるダークマターというものが考え出されました。今、各国の研究者がその正体解明に取り組んでいます。
このように銀河の中心は、重力に引っ張られてたくさんの星が集まっていて、外側はスカスカです。ご質問のように周辺では過疎化が進んでいるようです。でも、過疎化も悪いものではありません。実は、宇宙の星の半分以上は「連星(れんせい)」といって、太陽のような恒星が、お互いの周りをまわっているのです。星が密に集まっている銀河の中心はそのような連星が多いはずです。もしも太陽が銀河の過密地帯で「連星」だったら、一つの太陽が沈むと次の太陽が昇ってくる…というように、夜が無くていつも明るい昼間になってしまうかもしれません。休む暇がなくて寝不足になりそうですね。角田市のようにちょっと人口密度が低くても(ゴメンナサイ)昼と夜がしっかりあって静かに暮らせる環境の方が私は好きです。皆さんはどうですか?
(JAXA角田宇宙センター 吉田誠)
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