■自助・共助の必要性
阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震、能登半島地震など、近年の広域にわたる大規模災害の教訓から、災害時の自助・共助の活動が極めて重要であるといわれています。
また、今年の8月には、南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」の発令や台風10号接近などの経験により、事前防災の重要性を再認識できました。
そのような中、自分たちの地域を自分たちで守るために自主的に結成する組織が「自主防災組織」です。災害時に住民それぞれが役目を果たせるよう、日頃から積極的に防災啓発・訓練などに取り組み、防災意識の向上や組織の連携強化、防災資機材等の充実を図り、いざというときに「命を守れる体制」と「未来へ命をつなぐ体制」を作っていくことが必要です。
■えびの市の現状
えびの市では、64自治会のうち、46自治会(令和6年8月末時点)が自主防災組織を結成しています。また、高齢化や地域の特性に応じた結成を検討している自治会も増えています。令和5年度は、自主防災組織で、57回の訓練に約2500人、52回の防災講座に約2800人が参加し、防災・減災意識を高めることができました。
■自主防災組織の活動
自主防災組織は、避難訓練をはじめ防災・減災につなげるさまざまな活動を行い、地域の防災力の向上に努めています。近年の活動として、熊本地震震災ミュージアムKIOKU(記憶)や鹿児島県防災研修センターなどへの施設研修を通して、災害に触れる体験型の「より身近に、自分ごと」に感じる訓練が行われています。また、市民団体が企画・運営する防災講座や防災ワークなどにも参加し、楽しく学んでいます。
■市の役割
市では、自主防災組織の立ち上げや防災訓練の実施に対して、報償金を支給し、自主防災組織への財政支援を行っています。
また、自主防災組織の充実を図るために防災リーダーの育成を積極的に進め、令和4年5月に自主防災組織防災リーダー連絡会を設立しました。同会では、各自主防災組織の防災リーダーにより毎年3回の研修会(勉強会や意見交換)を開催しています。
研修会を通じて、防災知識や自主防災訓練のノウハウを積極的に学ぶ機会を支援するとともに、各地域の訓練支援を実施し、自主防災組織による自助・共助を主体とした地域防災力の維持・強化が図れる体制を目指しています。
■防災リーダーインタビュー
▽加久藤地区 田村誠一さん
「人数が少ない」、「高齢な人が多い」などの理由から、自主防災組織の立ち上げが難しい地域もあるため、まちづくり協議会や社会福祉協議会など、関係機関が連携した防災訓練を考えています。自主防災組織の幅を広げ、地域での連携・つながりを強くしていきたいです。
▽飯野地区 山﨑浩二さん
防災リーダーは、自主防災組織ごとにいて、地域の防災・減災の啓発や訓練の計画立案などを行っています。これからの自主防災組織は、自分自身で身を守り、防災リーダーや自治会長を中心に地域内で守り合い、そして、えびの市として地域の垣根を越えて、防災・減災に取り組むことが大切です。
■これからの自主防災組織
市の総合計画では、令和7年度末までに、全ての自治会が自主的な防災活動や訓練の企画・運営ができる体制を目指しています。しかし、少子高齢化によって設立が困難な自治会もあるため、いまある自主防災組織との共同体制の構築や軽易な組織の結成など、市内全体がカバーできる体制の必要性が考えられています。また、今後の課題として、若年層へつなぐ新たな自主防災組織体制を考える必要があります。
これらには、自助(市民力)・共助(地域力)の向上に加えて、企業・団体・学校など、地域が相互連携する体制の構築・強化、公助(行政力)の向上、大規模災害にも対応できる広域防災の視点に立った考え方を持つことが必要です。
まずは、自助・共助を主体として、自主防災組織や自分たちの地域にあるさまざまな企業・団体・学校などが、日頃から一体となって防災・減災を意識し、「今、できることをできる範囲から」始めてみましょう。
▽自主防災組織の将来のイメージ図
お問い合わせ:市基地・防災対策課基地・防災対策係
【電話】35-1119(直通)
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