文字サイズ
自治体の皆さまへ

認知症と共に生き、共に暮らす(1)

4/22

宮崎県えびの市

令和6年5月、厚生労働省が、団塊ジュニア世代が65歳以上になる2040年に、認知症の高齢者が584万人余りに上ると発表しました。これは高齢者の約15%、約6・7人に一人の割合となります。えびの市でも、高齢化率45・08%の超高齢化に伴い、認知症の人や認知症が疑われる人が今後も増加すると見込まれています。
認知症はゆっくりと進行しますが、症状が進行すると一人で生活していくことができなくなったり、介護をする家族の負担も増加したりします。その場合、介護保険を申請し、必要なサービスを利用したり、地域交流の場に参加することで地域での見守りを強化したりしていくことが重要となります。
えびの市にも認知症の家族を抱えながらも、介護保険サービスや介護者の集いなどを利用して、自宅で前向きに介護を続けている人たちがいます。
今後、高齢者の一人暮らしや老老介護の増加が見込まれる中、地域でどう支えるかが課題となっていきます。

■妻がほほ笑んだり、喜んだりすれば幸福。私の生きがいです
井川原弘さん
東原田地区で農業を営みながら、認知症の妻(要介護2)とともに暮らしています。
妻は、いつも私より10分くらい先に起きて、ソファに座っています。起きたら靴下をはかせて、髪をといて、歯を磨いてあげます。テレビの電源の入れ方が分からないので、代わりに入れてあげると、「ご飯ができたよ」と言うまではテレビを見ています。
買い物には妻と一緒に行くことが多く、Aコープは顔なじみ。従業員さんが荷物の多いときは運んでくれるし、丁寧に接してくれるからうれしいです。時々、一人で買い物に行くと「奥さんも連れておいで、会いたいから」と声をかけてくれます。
妻にとっては、「毎日が初めて」、「毎日が冒険」です。ストレスをかけないように「自由に」、「自然に」任せています。また、季節を感じ和んだ気持ちになってほしいので、居間にはいつも庭の花を飾っています。ただ、夜中に3度ほどのぞいてみます。いなくなっていないか心配だからです。
私が寝ていると布団を掛け直してくれるので、私のことを気遣ってくれているんだなとうれしくなります。認知症でいろいろ忘れてしまっても、人を思う気持ちは一緒なんです。だから、大事にしてあげたいです。

■みんなで語り合うことで、介護の負担が軽くなります
最初のころは、デイケアに行かせても雰囲気を壊してしまうのではないかと思ってためらっていました。そんな時に息子が「とりあえず行かせてみたら?ダメやったらやめればいいがね」と言ってくれたことで通わせることにしました。今では週3回通っています。
介護する上で困った時は、同じように介護する人たちの話を聞きたいと思います。社会福祉協議会主催の介護者の集い「和の会」にも参加しています。勉強になりますが、私のように一緒に連れて歩いたり、自分の苦労や境遇を積極的に語ったりはしないんだなと感じています。自分の体験が誰かのためになることもあるので、語り合うことができれば、介護の負担も少し軽くなると思います。

■ノブエさんの安心した笑顔が見られるのは、弘さんがそばにいるからです
シルバーケアステーションほうようケアマネジャー 大脇由美子さん
ノブエさんに認知症の症状が現れたのは4年前で、令和2年に介護保険申請を行い、要介護の認定を受けました。ノブエさんは、認知症により警戒心や恐怖心が強くなっていたため、かかりつけのデイケアを週1回から始めました。
初めは、送迎するスタッフの顔を覚えておくことができずに警戒していましたが、回を重ねるごとに警戒心も薄れ、穏やかにデイケアの時間を過ごせるようになりました。顔なじみのスタッフに付き添われ、今では週3回通っています。弘さんも「常に見ておくことはできないし、自分の時間ができて良かった」と喜んでいます。二人の生活状況に合わせて、サービスの見直しができるように、定期的にご家族と話し合い、支えていきたいと思います。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU