【成長の糧は、誰が】
子どもたちの成長の糧となる体験は、誰が、どのような思いで生み出しているものなのでしょうか。今回は、町が行う事業の一部を紹介するとともに、町内で活動するボランティアや児童厚生員、小学校教員に話を聞きました。
◆町が行う事業は?
町では、演劇ワークショップ「みまた座」、生涯学習教室で親子向けの教室を開催するなど、子どもが、ときには親子が、さまざまな体験をできるよう各種事業を行っています。
「みまた座」は、小学4年生から高校2年生までの子どもたちを対象に、演劇の練習・公演のほか、舞台づくりやホールボランティアなどを経験するもので、今年で21年目を迎えました。
今年は過去最多の33人が参加。8月に行った「試演会」では、駆け付けた保護者を前に、仲間と一緒に、一生懸命に役を演じる子どもたちの姿がありました。
また、生涯学習教室では、今年度、親子向けの運動教室、昆虫探し体験を南九州大学と連携して開催したほか、一般の教室でも、大人に交じって参加し、学習する子どもたちの姿がありました。
◆大人が支える「体験の機会」
今回話を聞いた4人は、仕事として、あるいはボランティアとして子どもたちと接する人たちです。話を聞くと、皆さん、立場の違いはあっても、それぞれの真心で目の前の子どもたちに接しており、子どもたちの成長を切に願い、自ら行動する人たちでした。
○みまた座 中村心春(なかむらこはる)さん(三股小5年)
みまた座に入ってから、運動会のリーダーになったり、司会になったり、人前に出るのが得意になりました。
これからも、演技が上手になれるようにがんばりたいです。
◆INTERVIEW
○読み聞かせボランティア「ぶどうの会」
大村麻里(おおむらまり)さん
田中眞由美(たなかまゆみ)さん
「ぶどうの会」は、昭和61年7月から活動している読み聞かせボランティア団体です。
現在は3人で活動しています。
月1回、町立図書館での「おはなし会」、保育園などで読み聞かせなどの活動をしています。
町立図書館の学習室で行っている「おはなし会」は、絵本の読み聞かせだけでなく、手遊び、わらべ歌、パネルシアターを交えたプログラムで開催しています。コロナ禍以降、活動を控えていましたが、今年5月にようやく再スタートすることができました。現在は、月に1回のおはなし会、そして、声をかけていただいた保育園などで読み聞かせを行っています。
これまで、どのようにすれば子どもたちやその保護者に楽しんでもらえるのかを考えながら活動してきました。
絵本を選ぶ際、私たちが「この本おもしろい!」と思って読み聞かせをしても子どもの反応があまりよくなかったり、逆に私たちが「この本いまいちかもな…」と思って選んだ本をものすごく楽しんでくれたり…。読み聞かせで話す人によって本の印象は変わりますし、本選びから悩むこともありました。
今の3人体制になって、約20年が経ちます。何度も活動を終えそうになりましたが、自分たちが活動を終えてしまうと読み聞かせに触れたいという人の行き場が一つ減ってしまうのではないだろうか、との思いで今も活動を続けています。
このおはなし会は、絵本や音楽に触れるという体験はもちろん、保護者同士の出会い、子ども同士の出会いが生まれることも醍醐味の一つです。家にいるだけではわからないお子さんの姿を見られることもあると思います。ぜひ、気軽にお越しください。
※次回は、11月27日(水)に「おはなし会」を開催する予定です。詳細は本紙10ページの町立図書館コーナーをご覧ください。
◆INTERVIEW
○放課後児童クラブ(植木)
放課後児童支援員 吉川明美(よしかわあけみ)
※「吉川」さんの「吉」は環境依存文字のため、置き換えています。正式表記は本紙をご覧ください。
町が運営する児童クラブは、町内に11カ所。子どもたちが遊ぶ場として、また帰宅までの時間を過ごす生活の場として運営しています。
また、町内には民間の児童クラブが5カ所あり、行政と民間それぞれが、日々子どもたちを見守っています。
児童クラブの運営に携わり、27年ほどが経ちました。現在この児童クラブには、約40人の児童が登録しており、放課後、土曜日(祝日を除く)や学校休業日などに利用できるよう運営しています。
子どもたちは、児童クラブに着くと宿題をしたり、お菓子を食べたり、友だちと遊んだりして過ごします。また、私たち児童厚生員によるペットボトルや牛乳パックなどを使った工作の企画、敷地内に植えたサツマイモを秋に収穫し焼き芋を作る企画などを行い、子どもたちがさまざまな体験ができるよう工夫して運営しています。
これまで多くの子どもたちに接してきましたが、最近の子どもたちは人間関係を作ることに苦労する子が多い印象です。友だちとの遊び方、付き合い方が分からない子も多く、何かサポートできないかと日々考えながら接しています。
中には、一日に何度も指導が必要な子もいました。しかし、その子自身に「熱中できる遊び」などが見つかるとすごく集中して落ち着きますし、素直になっていきます。すると、私たち大人との関係性、友だちとの関係性を、だんだんと上手に構築できるように成長するんです。はじめは何度も指導が必要な子だと思っていても、そんな子ほど、何か「光るもの」を持っていて、目が輝いてくる。だから、「この子が熱中できることは、どんなことだろう。どんな言葉が心に響くんだろう。どんなサポートができるんだろう」と、いつも考えながら接しています。
みんなと同じように接しても、かえって子どもが怒って、逆効果になることさえあります。子ども一人一人の個性を見ながら接していくことが重要だと思います。そう接していく中で成長した姿を見ると「この仕事をやっていて本当に良かった」と、心からやりがいを感じます。
これからも、子どもたち一人一人の個性や可能性を育て、自立した一人前の大人に成長してもらえるように、努力していきたいと思います。
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