近年、全国的に人口減少、出生率の低下や少子高齢化が進む中、宮崎県には人口、出生率や年少人口割合などについて、相対的に高い数値を出し、【子どもが多いまち】があります。
そう、私たちの住む、三股町です。
本町は文教のまちともあいまって1960年代から【子育てがしやすいまち】を目指し、乳幼児医療費助成や児童館建設などさまざまな子育て支援を行ってきました。ただ、このような子育て支援策はほかの自治体でも多く行われています。それでも本町に【子どもが多い】のはなぜなのでしょうか。本特集では、地域で子育てに寄り添う大人たちに焦点をあて、本町の子育て環境について考えます。
平成27年調査に比べて本町人口が増加した、令和2年国勢調査。年少人口割合は県内で最も高い17・2%、高齢人口割合は県内で2番目に低い28・4%となりました。また、今年4月に厚生労働省が発表した「合計特殊出生率」(※)は「1・84」で、県内1位。全国1887市区町村で47番目に高い数値となりました。いずれも、全国的に人口が減少し少子高齢化が進む中において相対的に高い水準であり、本町に「子どもが多い」と言われるゆえんです。
私たちは、子育て支援策のほか、地理、土地価格、気候・災害、治安、歴史など、さまざま要因を加味して住む場所、子どもを育てる場所を選択します。そのため、出生率や年少人口割合は、子育て支援策の金額や内容に、必ずしも左右されません。つまり、支援策の内容がどこよりも充実している自治体であっても、上位であるとも限らないのです。
本町は、(公社)日本青年会議所が「子どもを産み育てたくなる社会を実現するため」に推進している運動に賛同し、令和5年5月に「ベビーファースト宣言」を行いました。同宣言には、(1)「保育サービスの充実」(2)「中学校の給食費の無償化」(3)「子ども医療費の助成」(4)「ファミリーサポートセンター(たんぽぽ)の利用料軽減」(5)「放課後児童クラブの利用料金免除制度」や、相談・支援体制の充実と強化などを盛り込んでいます。
また、令和5年2月に「子ども家庭総合支援拠点」を開設し包括的な相談受付体制を整えたほか、町健康管理センターによる「赤ちゃん健診」などの乳幼児向けの集団健診、乳児家庭全戸訪問事業、町社会福祉協議会と連携した子育て支援センターなどの運営を行うなど、この町の規模だからこそ可能な支援が行われています。
今回は、この町に“子どもが多い”理由を、「行政による支援だけでなく、子どもたちと関わる大人たちの姿にヒントがあるのではないか」との視点から、「私たち大人は、どうあるべきか」について考えていきたいと思います。この町にいる私たちが、子どもたちの成長をどのように見守ることができるのか、見守るべきなのか。長年、さまざまな形で子どもたちに関わってきた大人たちの姿を映し出し、考えていきます。
(※)女性一人が一生のうちに産む子どもの推定人数
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