認知症や精神障がいなどで判断能力が低下してしまうことは、誰にでも起こり得ることです。
困ったときは、上手に「成年後見制度」を利用しましょう。
■成年後見制度とは?
認知症や障がいなどにより、物事の判断能力が欠けたり、不足したりする人が、さまざまな契約や財産管理などをするときに、不利益を生じることがないよう、本人を守り・支援する制度です。大きく「法定後見制度」と「任意後見制度」に分けられます。
◇法定後見制度
本人の判断能力が不十分な人に対する制度です。判断能力の程度により「後見」「保佐」「補助」の三つに区分されます。
▽判断能力の程度
・判断能力が欠けている→成年後見人…全ての法律行為が行えます。
・判断能力が著しく不十分→保佐人…基本的に法律上定められた重要な行為の同意権が付与されます。
・判断能力が不十分→補助人…申し立ての範囲内で、家庭裁判所が定める法律行為を行えます。
※利用には家庭裁判所に審判を申し立てることが必要です。
◇任意後見制度
本人の判断能力があるうちに利用できる制度です。判断能力の低下に備え、支援者や支援内容を自分で決めることができます。
▽判断能力の程度
・十分な判断能力がある→任意後見人…本人の判断能力が不十分になってから、任意後見人監督の下、本人との契約で定めた行為を行います。
※利用には公正証書で契約、法務局登記が必要です。
◇例えばこんなとき…ご相談ください!!
・施設入所の手続きをしてくれる人がいないとき
・物忘れが多くて、お金の管理ができなくなったとき
・親が残してくれたお金や家などをどうしたらよいか分からないとき
・悪徳商法にだまされたとき
◇制度を使うには、どうすればいいの?
・地域の窓口へ相談
地域包括支援センター、相談支援事業所、市の相談窓口、成年後見人制度に関わっている社会福祉士・司法書士・弁護士団体などに相談してください。
・家庭裁判所へ申し立て
診断書と必要な書類、手数料などをご用意ください。また、状況や状態などを詳しくお聞きすることがあります。
・成年後見人などの決定、成年後見制度の開始
成年後見人などは、家庭裁判所が選任します。あなたが希望する人や専門家から選ばれる場合があります。申し立てから利用開始までの期間は、多くの場合、早ければ1〜2カ月、長くても4カ月以内くらいです。
■成年後見人が権利を守ってくれます!!
Q.どんな人が「成年後見人」になるの?
A.家庭裁判所が適任だと判断して選任した人が、成年後見人を務めます。多くの場合、配偶者や子どもなどの親族が選ばれますが、弁護士や司法書士、社会福祉士などの専門家や、福祉関係の法人が選ばれることもあります。また、複数人が選任されることもあります。
権利擁護センターぱあとなあ宮崎登録 社会福祉士 吉田麻美さん
Q.成年後見人は何をしてくれるの?
A.よく分からないまま、だまされて結んだ契約の取り消しの手続きを行ったり、介護サービスや施設入所の手続きをお手伝いします。また、相続の手続きのお手伝いや預貯金の管理、保険料や税金の支払いなどのお手伝いもします。
権利擁護センターぱあとなあ宮崎登録 社会福祉士 細田猛旨さん
■成年後見人などができること・できないこと
◇できること
▽財産管理
・通帳や権利証などの保管・収支の管理(預貯金の管理、年金・給与の受け取り、公共料金・税金の支払いなど)・不動産の管理、保存
・遺産分割、行政上の手続き、税の申告
・金融機関との取引
▽身上保護
・本人の住居に関すること
・介護の契約に関すること
・施設入退所に関すること
◇できないこと
・掃除、洗濯、介護や看護
・親族や第三者が支払うべき費用の立て替えや支払い
・日用品の購入などの日常生活に関する行為の同意権、取消権の行使
・本人に代わって、婚姻、離婚、養子縁組を決めること
・手術などの医療行為への決定および同意
・身元引受人(身元保証人)
・葬儀を執り行うこと
■お気軽にご相談ください
◇日南市地域包括支援センター
◇日南市委託相談支援事業所
◇その他相談はこちら
・福祉課 障がい福祉係【電話】31-1130
・宮崎家庭裁判所 日南支部【電話】25-1188
・日南公証役場【電話】23-5430
任意後見や委任代理契約に関する事であれば相談できます(本人の判断能力が保たれている場合の相談先)。
問い合わせ:長寿課
【電話】27-3154
<この記事についてアンケートにご協力ください。>