在宅で介護を受けている人は、施設などの入所者の2倍以上といわれていて、医療・福祉関係者に接する機会も限られています。そこで市では、誰もが住み慣れた地域で、自分らしく暮らしていけるよう、IoT機器を活用してケアマネジメントの向上支援に取り組んでいます。
■在宅で健やかな毎日を過ごせるように
市では、昨年度から、ケアマネジャーの職能団体である宮崎県介護支援専門員協会や民間企業(パナソニックホールディングス株式会社)と協働し、「IoT機器を活用したケアマネジメント向上支援事業」を開始しました。
本事業には、ケアマネジャーと高齢者の各5人が参加。自宅にIoT機器(センサー)を設置し生活リズムを把握、分析した上で在宅高齢者が健やかな毎日を過ごせるようケアプランを提案していきます。生活リズムの分析は、ケアマネジャーと企業の研究チームが、外出回数や睡眠時間、服薬の有無、活動量、冷蔵庫や電子レンジの開閉回数などのデータから推定します。
また、ケアプラン作成に当たっては、当人に必要な支援をケアマネジャーが理学療法士や保健師、管理栄養士などの専門職と一緒に考える「深掘会議」を実施しています。
■市民の皆さんへの還元に向けて~今後の展望~
本事業に参加できる人数には限りがありますが、より多くの医療・福祉関係者に広め、市全体でレベルアップを図るため「事業報告会」を開催し、得られた経験や学びを共有する機会を設けています。
今後も、デジタル技術で在宅介護を支え、高齢者のQOL(人生や生活の質)向上や、ケアマネジメントのさらなる質の向上を目指して取り組んでいきます。
○事業に参加した高齢者家族の声
・一日の生活リズムが維持できていることが分かり、安心できた。
・本人はセンサーを気にする様子はほとんどなかった。
・データを踏まえたケアマネジャーからの助言により、在宅での生活がまだ可能であると考えた。
◆最後まで自宅で暮らしたいと希望されている人の思いを実現したい
(宮崎県介護支援専門員協会 都城・北諸県支部 大浦栄子支部長)
「最後まで自宅で暮らしたい」思いを実現するためには、ケアマネジャーとして幅広い視点で生活全体を捉え、生活の将来予測を考える必要があります。そのために「適切なケアマネジメント手法」と「IoT機器活用」をリンクした日本初の取り組みを展開したいと5年前から研究してきました。
昨年度から、研究による実証の成果を踏まえた取り組みを実施しています。本人の価値観に寄り添い、尊厳を重視しながら、客観的な事実に基づいた意思決定支援につなげる本事業。全国他に類を見ない「都城」だからこそできる取り組みだと誇りを持って今年度も事業を進めてまいります。
問い合わせ:介護保険課
【電話】23‒2685
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