■子育ての輪を広げるー
時代とともに変化する家族の形や子育てのスタイル。正解が無いからこそ誰もが迷い悩むのが「子育て」なのかもしれません。この時代の子育てに必要な視点とはどのようなものなのでしょうか。それぞれの立場から子育てに向き合う2人にインタビューを行いました。
◇支え合って助け合って子育て
南九州大学人間発達学部 子ども教育学科准教授 藤本朋美さん
家族形態が多様化し、家庭ごとに支援ニーズが異なる現代では、子どもやその家庭と周りにいる人たちがつながり、必要な時に必要な支援へ手が届くことが求められます。一方で、支援する側とされる側が二極化し、支援する側が負担を感じたり、支援される側が心苦しさを感じたりすることのない社会をつくっていく視点も必要です。
子育てが大変なときは、行政や地域の支援を頼るのはもちろんですが、パートナーや家族とお互いの状況や子育てについての価値観を話し合うことも大切です。仕事などさまざまな事情で子どもと接する時間が十分に取れないことに負い目を感じる人もいますが、その必要はありません。大切なのは一緒にいる時間の長さではなく過ごし方です。子どもは親をよく見ていますから、向き合っていれば思いは伝わります。同時に、保育園などの先生や地域の人など親以外の大人とつながることでも子どもは充足感を得られます。
幼少期の家族や社会の在り方は、大人になったときの考え方や価値観の形成に大きく影響を与えます。次の世代のためにも、子どもたちの目に映る家族像・社会像がより良いものであるようにまち全体で子育てに取り組んでいきましょう。
◇「子育て」は個も育てる一緒に成長しましょう
相愛保育園 園長 高木かおるさん
かつては「名付け親」「育ての親」などと呼ばれる人が地域にいて、みんなで子どもを育てる雰囲気がありましたが、現代ではそれが希薄になっているように感じます。
一方で、働きながら子育てをする保護者にとっては、時代とともにさまざまな支援サービスが充実してきました。ただし保護者目線のみの施策ではなく、子ども目線で、子どもの幸せを願う視点の施策になっているかが重要だと考えています。子育てでは、何ごとも「子どもの幸せ」という軸がぶれてはいけません。ただ、子育ての免許や資格なんて誰も持っていませんし、マニュアルもありません。子育ては、子どもの成長を願い育てながらも、保護者自身の個の成長でもあります。
また、子育てをしている当事者だけでなく、子育てをしていない人も「自分には無関係」ではなく、子どもや子育て世帯のことを「知ろう」とすることが大切です。自ら知ろうとすることで「気づき」が生まれ、それが広がることで少しずつ社会は変わっていきます。こども家庭庁が発足し「こどもまんなか社会」がうたわれる今、子どもや子育て世帯に対して温かいまなざしが社会全体に広がるようにみんなで考えてみませんか。
市では、Mallmall内にある保健センターで乳幼児健康診査などを実施するとともに、市内各地区にある子育て支援センターでのサポートやファミリー・サポート・センター、病児・病後児保育の利用助成などを行っています。それぞれに合ったサービスをぜひ活用ください。
●子育て支援センター
親子の交流や子育て相談、催しなどを通して子育てを支援する施設。本紙では、毎月の行事などを「子育て支援センター今月のオススメ行事」で紹介。今月は17ページに掲載しています。
●ファミリー・サポート・センター
子どもの送迎や預かりなどを行う事業。市が利用料の一部を助成していて、利用会員数・活動件数ともに年々増加しています。
●病児・病後児保育
体調不良の子どもを保護者が就労などで保育できない際に、一時的に保育する制度。市では、今年10月から利用料の助成を開始しました。
※子育て関連サービスについて詳しくは、都城市子育て応援総合サイト「はぴみやこんじょ」を確認ください
●保健センター 井上志保副課長
最近は、赤ちゃん健康相談への父親の参加率が高まるなど、育児に対する意識の変化を実感しています。一方で、子育てにさまざまな選択肢があるが故に、迷いや不安を抱えることもあるかと思います。保健センターでは産前・産後サポートなど、各家庭の状況に応じた子育て支援に取り組んでいます。
問合せ:保健センター
【電話】36-5661
■思いよ届け 全ての人が子育てを応援するまちにー
子育てに迷った時。ただ誰かに話を聞いてもらいたい時。このまちにはたくさんの居場所とたくさんの味方がいます。
一歩踏み出してみませんか。
もっと周りの人を頼ってみませんか。
子どもの一番近くにいるあなたが笑顔でいられること。それがこのまちの願いです。
あなたの周りに、子育て中の人はいませんか。
まずは、目の前にいる誰かに手を差し伸べてみませんか。
あなたの優しさが誰かを笑顔にしていく。そんなまちを一緒につくりませんか。
未来を担う子どもたちは、このまちの「宝」。どうか、私たち一人一人の優しさで子どもたちの笑顔を守れるまちになりますように。
問い合わせ:秘書広報課
【電話】23‒3174
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