■「静聴」
中澤 弘光 作 (1951年)
背筋を伸ばして何かを見つめる少女。固く結ばれた口元と真剣な眼差しから緊張している様子が伺えます。
作者の中澤弘光(1874~1964)は、日向佐土原藩藩士の父を持ち、明治から昭和にかけて活躍した洋画家です。
若くして曽山幸彦に師事し、後に堀江正章や黒田清輝に学びました。中澤が「婦道を説く教師の訓示を聞いている少女の像」と話す本作。描かれている少女は実在した人物で、この絵を見て一目ぼれした男性が後に夫となったことから、縁結びの絵画ともいわれています。中澤の特徴である破綻のない確実な描写と豊かな色彩によって、モデルとなった少女の魅力を最大限に引き出した一枚です。
※本作は、7月9日(火)から開催する収蔵作品展「にんげんっていいな」で展示予定
問い合わせ:市立美術館
【電話】25-1447
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