~「庄内地理志」から時代を読み解く~
■地誌編さんの時代的背景
江戸時代後期、西洋列強の進出に危機を抱いた幕府は、領国を再把握するための調査の一つとして地誌の編さんを企画。
寛政の改革で知られる老中松平定信が地誌に興味を示した影響を受けて、幕府は享和3年(1803年)、昌平坂学問所に地誌調所(ちししらべしょ)を設置し、地誌編さんに着手するよう各藩へ内々に指示しました。
享保期から行われた鹿児島藩の地誌編さんは、寛政期の幕府の動向を受けさらに活発になり、その成果として「薩藩名勝志(さっぱんめいしょうし)」と「三国名勝図会(さんごくめいしょうずえ)」が編さんされました。
こうした幕府や藩の動向を受けて、都城島津家においても約30年にわたる大事業となる「庄内地理志」の編さんが開始されたのです。
本展示では、都城島津家による「庄内地理志」編さんの背景や役割を紐(ひも)解くとともに、記録された郷土の歴史や調査などの過程にも注目し、地誌編さんを通して地域の歴史が受け継がれていく様子を紹介します。
■都城の百科全書「庄内地理志」
「庄内地理志」は、都城島津家が独自に編さんした地理・歴史の書物で、全113巻に及びます。本市に現存する103巻に加え、巻百の写しが東京大学史料編纂所(へんさんじょ)に保存されています。
その内容は本市の風土や由来、名所旧跡、名産品、政治機構について記され、さらに当時伝来した古文書・古記録、系図、社寺縁起(しゃじえんぎ)、棟札(むなふだ)、石塔の類まで収録された、まさに本市の百科全書とも呼ぶべきものです。
※巻六十六は伝承館だよりで紹介
■企画展の概要
会期:8月3日(土)~10月6日(日)
※月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌日)は休館日
開館時間:9時~17時(入館16時30分まで)
観覧料:一般220円(160円)、高校生・大学生160円(110円)、中学生以下無料
※( )内は20人以上の団体料金。本宅別途110円
○講演会「薩摩藩の編さん事業と出版」(無料)
日時:9月14日(土) 13時30分~
講師:鹿児島大学法文学部教授「鹿児島の近現代」教育研究センター長 丹羽謙治さん
会場:ウエルネス交流プラザ
定員:70人
※申し込み順
申込方法:8月14日(水)から電話またはファクスで都城島津邸
【電話】23-2116
【FAX】36-4019
問い合わせ:都城島津邸
【電話】23-2116
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