◆鳥獣被害の今を知る
毎年、各地で有害鳥獣による農作物、人身被害が発生しています。町内でも、丹精込めて育てた農作物への被害や生活環境への被害が起こり、日々のくらしの脅威になっています。そこで今月は、鳥獣被害対策について特集します。
ここでは、町の鳥獣被害の現状を紹介します。
◇自然環境が大きく左右 鳥獣被害拡大の原因
「有害鳥獣」とは、市街地や農地に入り込み農作物被害や人身被害を及ぼす鳥獣を指します。クマ、シカ、イノシシ、カラスなどがその一例です。
有害鳥獣による日本の農作物被害額は、平成22年度の約240億円をピークに減少しているものの、令和4年度も150億円を超えています。被害にはさまざまな要因がありますが、全国的には大きく3つの要因があげられます。
・中山間地・農業構造の変化
過疎化や高齢化などで、中山間地の人間活動が減ったことで、餌場や隠れ場所となる耕作放棄地が増加。放棄地を拠点に野生動物が人間の生活圏に近づきやすくなった。
・気象の変化、生息環境の変化
地球温暖化に伴う暖冬や降雪量の減少などにより、野生鳥獣の個体数が増加。生息域、分布域も拡大した。
・捕獲数の減少 狩猟者の減
少や高齢化に伴い、野生動物の捕獲数が減少した。
被害を防止・削減するには、個人、地域、行政が一体となって総合的な被害対策を進める必要があります。
○令和元年~5年度 有害鳥獣の捕獲数(加害事案発生時の捕獲数のみ)
イノシシ
主な被害:
・水稲の倒伏
・農地の掘り起こし
カラス
主な被害:
・野菜や果樹の食害
・糞害
サル
主な被害:
・野菜や果樹の食害
・大豆の食害
○令和元年~5年度 穀物の被害額(関係機関調べによる)
◇イノシシ被害が顕著 町の鳥獣被害の現状
入善町の令和元年~5年度の水稲・大豆の被害額は約487万円にのぼります。
水稲の主な被害はイノシシによるもの。令和4年には舟見地区で水稲の踏み荒らしが多く発生しました。住宅地にも出没しており、生息数の増加、行動範囲の拡大による被害の増加が懸念されます。
大豆の被害は主にサルが原因です。サルは平成15年ごろから民家近くでの出没が増え、収穫前の農作物への被害が増加。特に舟見山一帯や西中、下山、墓ノ木地区では、住民が追い払いに取り組んでいますが、被害はおさまりません。
これら穀物の被害のほか、野菜や果樹の食害、市街地や民家の糞害など、有害鳥獣による被害は多岐にわたります。
ハクビシンは家の屋根裏に住みつき、糞害や家庭菜園の野菜や果樹への食害をもたらします。カラスは市街地で、集団で電線に群がり、糞害や鳴き声による生活環境悪化を招いています。
有害鳥獣は、町の基幹産業である農業や、私たちの暮らしを脅かしています。
◇家庭でできる鳥獣害対策(1)
・エサ場をなくす
放置してある農作物が動物のエサになっている場合があります。収穫しないで実を付けたままの木や、田畑においてある野菜くずなどはごみとして適切に処分してください
◇家庭でできる鳥獣害対策(2)
・隠れ場所をなくす
雑草や草木が生い茂った場所は定期的に草刈り・伐採を行い、隠れ場所を無くしてください。建物の屋根裏や床下への穴や隙間にはネットを張り、侵入経路をふさいでください。
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