◆〜持続可能な定置網の用具〜
富山湾の王者と呼ばれるブリは、11月から翌年2月ごろまで水揚げされます。ブリをはじめ、氷見の海でとれる魚は、主に定置網漁で水揚げされます。氷見の定置網漁の歴史は400年以上前から続いており、昭和30年代ごろまでの長きにわたってわら網が使用されました。
氷見の定置網漁は、1〜3月ごろはマイワシなど、5〜7月中旬ごろはマグロやトビウオなど、11月〜翌年2月ごろはブリなどが漁獲されます。わら網が使われていた頃は、年3回の漁期ごとに網を下ろし替えました。
わら網は、仕立てられてから2〜3か月ほど経過すると、傷んでしまい使えなくなります。使えなくなったわら網は、浮う子きから切り離されて海に沈められました。沈められたわら網がプランクトンなど微生物のエサとなり、その微生物を小魚が、さらに小魚を大魚が食べるという循環が氷見の漁場で生まれました。やがて、時代の流れとともに、定置網の素材はわらから麻、綿、そして化学繊維へと変化していきました。
今年5月22日、氷見市は「SDGs未来都市」に選定されました。今でこそ「SDGs」や「持続可能」という言葉をメディアなどでよく耳にし、個人や団体で目標に取り組む人もいると思いますが、氷見では昔から持続可能な取り組みがあったことを振り返ると、とても感慨深いものです。
(博物館学芸員 高松夏央)
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