文字サイズ
自治体の皆さまへ

市民病院だより

25/42

富山県氷見市

◆頻尿や尿失禁に対する最新治療-低侵襲(体にやさしい)と効果を両立した治療技術で排尿障害を改善-
▽適切な治療を受けるために
頻尿や尿失禁などの排尿障害のある患者さんは、「クリニカル・イナーシャ」になっていることが多いと考えています。「クリニカル」は、「医療に関わる」という意味です。「イナーシャ」とは「慣性」という意味で、止まっているものは止まり続けようと、動いているものは動き続けようとする物理的な特性を指し、医療では「症状の改善などの治療目標が達成されていないにもかかわらず、治療が適切に強化されていない状態」と定義されます。当院を受診する患者さんの中にも、前にかかっていた医療機関で長期にわたり同じ薬が処方されているが、これでいいのか不安だと訴える人もおり、薬の効果が不十分であったり、より適切な治療法があったりする場合は、クリニカル・イナーシャであるといえます。

▽低侵襲で効果的な治療技術を導入
このような状況を打開するため、当院では、排尿障害に対する新しい治療技術を導入しました。排尿困難や頻尿などの症状が出る前立腺肥大症の治療には、「前立腺つり上げ術」と「水蒸気治療」の2種類の外科的治療を、頻尿や尿失禁などの症状が出る難治性の過活動膀胱(ぼうこう)の治療には、北陸では初めて「仙骨神経刺激療法」を導入しました。
これらの治療は、外科的治療(手術)でありながら低侵襲で、患者さんの負担軽減を念頭に開発された新しい技術です。治療後はより迅速な回復が期待でき、入院の負担も大幅に軽減されます。

▽患者さんに合った治療法の選択
低侵襲で効果的な治療法の選択は、患者さんの生活への影響を最小限にとどめることでしょう。気になる症状のある人は、ぜひ一度泌尿器科にご相談ください。
・泌尿器科科長 森山 学(もりやままなぶ)教授

◆導入した最新の治療技術
▽前立腺肥大症(排尿困難や頻尿)の治療
●前立腺つり上げ術
小さなインプラント(医療機器)を埋め込み、前立腺の両側を吊り上げて圧縮することで、尿道を広げて尿流を増やすという方法です。従来の治療法のような、電気メスによる切開や、高エネルギーによる熱変性を伴わないため、前立腺組織の除去や損傷がなく、性機能を温存できる新技術です。

●水蒸気治療
異物を体内に残さないことが特徴です。麻酔をして103℃の水蒸気を約9秒間噴霧し、前立腺組織を約70℃まで上昇させ、組織を壊死させます。水蒸気が対流するため、既存の温熱療法に比べて効果のムラがなく、尿道粘膜や性機能を温存できます。治療時間は15分程度で、約2週間後、遅くとも3か月後には排尿状態の改善が期待できます。

▽過活動膀胱(頻尿や尿失禁)の治療
●仙骨神経刺激療法
小型のインプラントデバイス(埋め込み型の医療機器)を用い、仙骨神経に微弱な電気刺激を送ることで、膀胱の機能を正常化する治療法です。この体にダメージの少ないアプローチにより、患者さんの生活に与える影響を最小限にとどめ、症状の改善を実現します。効果は患者さんによって異なりますが、臨床試験では多くの人が効果を実感していることが示されており、治療後の日常生活をより快適に送ることが期待されます。

問合せ:金沢医科大学氷見市民病院
【電話】74-1900
医事課(内線1022)

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU