■『大腿骨近位部骨折地域連携パス』について
整形外科
髙木 泰孝
大腿骨近位部骨折とは、脚の付け根の部分の骨折の総称です。高齢者など骨が脆くなっている方(骨粗鬆症)に多い骨折です(図1)。閉経後女性ホルモンの関係があり女性に多くみられます。日本では、大腿骨近位部骨折は年間20万人発症しています。当院でも年間約100件の手術を実施しており、高齢化に伴い、大腿骨近位部骨折の患者数は、今後さらに増加すると推測されています。
健常人やその他の骨折患者と比較して、骨粗鬆症を有する大腿骨骨折の患者の生命予後は、悪いことが指摘されています。また大腿骨近位部骨折は高齢者に発生し、寝たきりの大きな原因です。寝たきりを防ぐためには、手術による早期離床、入院及び通院によるリハビリテーションや骨粗鬆症治療による転倒・骨折予防などの一貫した治療が必要です。
そのため、2024年1月から『砺波医療圏大腿骨近位部骨折地域連携パス』の運用を開始しました。従来の一病院完結型の医療ではなく、当院で入院・手術を行った後、回復期リハビリテーション病棟等を保有する回復期病院に転院し集中してリハビリテーションを行うことで、早期に在宅復帰を目指すものです(図2)。
大腿骨近位部骨折地域連携パスとは、大腿骨頸部骨折の治療において、診療にあたる複数の医療機関が、役割分担を含め、あらかじめ診療内容を計画したものです。当院(急性期病院)から回復期病院を経て早期に自宅に帰れるよう、内容としては、施設毎の診療内容と治療経過、最終ゴールなどを診療計画として明示しており、回復期病院では、患者さんがどのような状態で転院してくるかを把握できるため、転院早々からリハビリが開始できるようになります。また、患者さんにとっては、診療の計画が提示・説明されることにより、安心して医療を受けることができるようになります。
このパスによって、患者さんが必要かつ充分な医療を受けられるよう、地域全体で取り組むことを目指しています。ご理解とご協力をお願いいたします。
▽図2
急性期治療を行う一般病院
↓
リハビリテーションを行う回復期病院
↓
骨粗鬆症の継続治療を行う外来・クリニック
※図1…詳細は、本紙P.19をご覧ください。
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