今も昔も、子どもたちが心待ちにしている学校給食。今回は、新しくできた新下関学校給食センターと地産地消の取り組みを紹介し、関わる人たちの想いに迫ります。
■今どきの給食は!? 突撃インタビュー!
(写真)文関小学校6年1組の皆さん(取材時)
※写真は本紙参照
Q 好きな給食は?
カレーライス
チキンチキンごぼう
ゆかり和え
梅ごまひじき
鯨の竜田揚げ
ふく鍋
黒糖パン など…
Q 給食のここがイイ!
いろんな献立があること
デザートがあること
みんなで楽しく食べる
珍しいものが出ること
おかわりができる
デザートじゃんけん
おいしい など…
□下関市の学校給食
合併前の旧下関市の学校給食は、昭和22年に市立小学校19校で始まりました。当時は、戦後の食糧不足に対処するため、缶詰や脱脂粉乳が配給されていました。その後、対象校を順次拡大し、昭和47年南部学校給食共同調理場、平成2年中部学校給食共同調理場の開設を経て、すべての市立小中学校で給食を提供してきました。
平成17年の新市発足後も、学校給食は自校式も含め、すべての市立小中学校で提供しており、現在その数は、小学校42校、中学校23校で、1日約1万8千食に上ります。
□民設民営方式の給食センター
今後も安全安心な学校給食を未来へつなぐため、築50年以上経過した南部学校給食共同調理場等に代わる施設を民設民営方式で計画し、整備を進めてきました。
ついにその「新下関学校給食センター」が完成し、4月から小学校16校、中学校6校へ、学校給食の提供がスタートします。
■新下関学校給食センター
[基本方針]
高度な衛生管理による安全な学校給食
アレルギー除去食の提供
食育に関する協力
効率的な施設設備の整備及び運営
[施設概要]
構造鉄骨造2階建
延べ床面積6,093.63平方メートル
所在地一の宮住吉三丁目2番1号(新下関市場敷地内)
施設の特徴と、設備をご紹介します。
□特徴
・HACCP方式による徹底した衛生管理
・調理室内の温湿度管理(室温25℃以下、湿度80%以下)
・汚染作業区域、非汚染作業区域など、区域を明確に設置
・アレルギー除去食(えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生を除いた給食)は、専用調理室で調理して提供
・8,000食規模の大量調理を、安全かつ衛生的に調理できる厨房機器を選定
・魔法瓶構造で高い保温性を持つ食缶を採用
HACCP方式
継続的な監視・記録
食材
↓
調合
↓
加熱(温度・時間の管理)
↓
冷却(温度・時間の管理)
↓
包装(異物の検出)
↓
出荷
□給食ができるまで
調理する私たちは、日々健康チェックをしています。
施設に入る時も、異物が入らない厳重な仕組みがあります。
・大型スライサー
3cm幅のキャベツなら1時間で1,300kgを処理できます。
↓
・金属検出機
金属異物を検出し、給食への混入を防ぎます。
↓
・低輻射回転釜
周囲の温度を上げず、蒸気を使って、大量に素早く加熱調理ができます。
↓
・魔法瓶構造の食缶
高い保温性の食缶に入れ、コンテナで学校へ運びます。
↓
学校へ
・アレルギー除去食専用調理室
室内の換気、空調設備は独立系統で、アレルゲンの混入を徹底して防止しています。
□高齢者向け配食サービス
民設民営方式のメリットを生かした付帯事業として、県内の在宅高齢者向けの配食サービス(弁当の製造)を行います。
□安全でおいしい給食を
下関アグリフードサービス株式会社
学校給食事業部 部長 兼定 篤さん
最新の設備で、食中毒や、異物の混入がない安全な給食をお届けします。
さらに、子どもたちが食べるときにちょうどおいしくなるよう食材に合わせて工夫し「おいしかったね」と言われる給食を作っていきたいと思っています。
■農産物に込めた想い
JAランチ倶楽部協議会と市場が連携し、これまで以上に学校給食の地産地消の推進に取り組みます。
□JAランチ倶楽部協議会
[下関の農業の発展に]
・山口県農業協同組合 下関東部営農センター センター長 山名 俊也 さん
給食センターへ下関産の農産物を提供するため、生産者に呼び掛けて、学校給食向けの野菜出荷説明会を開きました。
趣旨に賛同する生産者が栽培した農産物を、卸売市場へ出荷しています。
今後生産者が増えれば、JAとしてもさまざまな支援を行うこともできます。
作付面積が広がることで、産地化が進み、下関の農業の発展につながっていくと考えています。
[農業に興味を]
・農事組合法人松屋 代表理事 長谷川 仁広 さん
サツマイモとジャガイモを給食に出荷しています。ジャガイモは春と秋に植え付けて、3カ月から4カ月間、丹精込めて育てています。
子どもたちに安心安全な野菜を食べてもらえるように、農薬は極力使わないようにしています。
給食の地元野菜を通じて、農業に興味を持つきっかけになればと思います。そして将来、農業を担いたいと思う子どもが一人でも出てくれればうれしく思います。
[おいしく食べて健康に]
・生産農家 村岡 直紀 さん
2年前に、東京からUターンして農家を継ぎました。勉強しながらいろいろな種類の野菜を作っています。給食のタマネギは、9月から種子をまいて苗を育て、畑に植えています。収穫まで2回ほど肥料を施して育てています。
育てたタマネギが、給食センターで調理され、おいしく食べてもらえるとうれしいです。そして、タマネギを食べた子どもたちが健康に育ってもらえればと思います。
□卸売市場
[市民の台所を通して]
・新下関青果株式会社 代表取締役社長 堀内 克也 さん
給食センターは市場に隣接しているので、仲卸業者の輸送コストが下げられます。また、品質や味は変わらない大きさなどが規格外の野菜も、給食センターへ届けることができるようになります。
市場は市民の台所です。市場を通して、下関産の野菜や果物を、市民の皆さんにもっと食べていただきたいと思っています。給食センターをきっかけに、下関産の青果の生産量が増え、産地活性化につながればうれしく思います。
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