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しもまちキラリ

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山口県下関市

■王司干潟改良グループ
第10回ディスカバー農山漁村(むら)の宝アワード中国四国農政局奨励賞を受賞。
地域のチカラ、継続のチカラで目指す、干潟の復活。

■海・干潟への関心 次世代の子どもたちへ
▽干潟のいま
王司・千鳥浜。昔は、どこを掘っても、たくさんアサリがいたそうですが、今は天然のアサリはほとんど獲れなくなっています。
開発によって周辺が埋め立てられ、上流のダムや河川護岸の整備等により、干潟を取り巻く環境が変化したことや、温暖化の影響で干潟の表面温度が高くなり過ぎることなどが原因と考えられています。

▽なぜ干潟が必要?
干潟は、多くが河口付近に広がっており、1日に2回潮の干満があります。川の流れによって陸から窒素やリン等の栄養塩や有機物が運ばれ、海からは波に寄せられてプランクトン等が供給されます。栄養塩は、海藻や植物プランクトンの餌となり、有機物はバクテリアの餌に。豊富な栄養で増殖した植物プランクトン等は、動物プランクトンや貝などが食べ、それらをさらに魚や鳥が餌とする。干潟は、自然の生態系を豊かにする、海のレストランなのです。
一方、海に流れ込む河川の水には、生活雑排水が含まれていますが、潮の満ち引きによる露出と水没の繰り返しが海水中に大量の酸素を供給し、バクテリアを活性化させ、有機物の分解を促進します。このような仕組みで、干潟は、海に流れ込む水をきれいにする浄化槽の役割も果たしています。

▽干潟を守る
さまざまな役割を持つ干潟を復活させたい。王司干潟改良グループは、このたび「ディスカバー農山漁村(むら)の宝アワード」中国四国農政局奨励賞を受賞しました。この賞は、農山漁村に潜在する力を引き出すことで、地域の活性化等に取り組んでいる優良な事例を選定。全国に発信することで、他地域へ水平展開を図るものです。
アサリの稚貝の放流や稚貝の定着を促すための干潟への竹立ての実施、また50年近く続いている地元・王司小学校の海浜学習の実施など、干潟の復活に向けた活動を継続していることが評価されました。アサリを食べてしまうツメタ貝の駆除は、王司小学校5年生の総合的な学習の時間の題材として定着しています。
「水揚げ量が増えるなど、目に見える成果はまだ現れてこないが、生物の環境適応には時間がかかるもの」と代表の矢儀伸治(やぎしんじ)さん。次の世代に伝えていかなければとの思いが、活動の原点といいます。「一人でもいいから、海に関心を持ってもらえれば。さかなクンほどにならんでもええけど」と笑います。長い目で見た時、子どもたちが海に関心を持ち、干潟の大切さを知ってもらうことこそが復興の鍵と力を込めます。
「ツメタ貝、たくさんみつけてなぁ」。子どもたちに明るくて優しい、大きな声をかけ、目を細めていました。

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