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なるほど健康教室[213]

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山口県岩国市

■心臓弁膜症(4)

今回が最後となりますが、前回に引き続き心臓弁膜症について紹介します。
(3)大動脈弁閉鎖不全症は、弁の閉じ方が不完全なために血流が逆流し、心臓の拡大と機能低下が起き、息切れや呼吸困難を生じます。この病気は、大動脈弁の硬化、大動脈の拡大、血管炎、マルファン症候群のような大動脈の疾患、薬剤性などさまざまな原因で起こります。生まれつき大動脈二尖(にせん)弁があると、若い人でも大動脈弁閉鎖不全症になることがあります。
(3)の症状としては、病状が悪化するまで症状が出にくく、反対に症状が出たら進行している可能性があります。激しく体を動かしたときにだるさ(倦怠感(けんたいかん))や息切れ、まれに狭心痛(胸の痛み)を感じることがあります。重症になれば、めまいや失神を起こすことがあります。
(3)の治療法としては、軽度から中等度では定期的な経過観察です。重症になれば、人工弁を使った弁置換(べんちかん)術を行います。弁の状態がよければ、自分の弁を修理する弁形成(べんけいせい)術が必要となることがあります。
(4)僧帽弁狭窄(そうぼうべんきょうさく)症は、多くの場合リウマチ熱の後遺症で発症します。
(4)の症状としては、体を動かした時に息切れが起こり、血液の循環が悪くなり、むくみや食欲が低下し、疲れやすくなります。不整脈が出やすく、動悸やめまいを感じることがあります。また脳梗塞など重篤な血栓塞栓(けっせんそくせん)症を引き起こすことがあります。
(4)の治療法としては、軽度であれば、不整脈を予防する薬、血栓を予防する薬、心臓の負担を減らす薬などで様子を見ます。重症になれば、カテーテルで弁を広げる手術、外科的な人工弁置換手術などを行います。
弁膜症の多くはゆっくり進行するため、初期にはほとんど自覚症状がありません。しかし、気付いたときには心不全になって、取り返しのつかない状態になることもあります。「以前に比べて疲れやすくなった」「少し動くだけで息切れがする」など、わずかなサインを見逃さないようにし、こうした症状を感じたら、早めにかかりつけ医に相談して、心エコーなどの検査を受けましょう。
〔岩国市医師会〕

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