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ふるさと歴史アラカルト

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山口県岩国市

■飛行艇(ひこうてい)の歴史

現在、岩国市の海上自衛隊岩国航空基地には、世界で唯一、波高3mの外洋へ着水することができる救難飛行艇部隊(海上自衛隊第31航空群第71航空隊)が配備されています。今回は、飛行艇の機体の変遷について紹介します。
飛行艇とは、滑走路で離着陸する陸上機と異なり、水面で発着することが可能な飛行機のことです。第二次世界大戦以前、長距離輸送や航空路線運航には、大規模な滑走路を必要とせず、水面で発着できる飛行艇が数多く使用されてきました。戦後、技術の発達による脚(車輪部分)の強化や滑走路の整備が進むと、大型の陸上機が航空路線の中心となっていきました。一方で、飛行艇は水面で発着できる特殊性、優位性を生かして、救難や哨戒(しょうかい)(※1)などの用途に利用されるようになります。
戦後の日本は、航空機の開発や生産を禁止されていましたが、昭和27(1952)年に再開が許可されました。再開後、最初に開発された飛行艇がPS-1で、海上から潜水艦に対する哨戒(しょうかい)を目的として、ソナー(※2)が装備されます。PS-1は、水流を下に逃がしプロペラに当たらないようにする波消装置と、翼の上部から圧縮空気を吹き出して高い揚力を得る装置(BLC)により、波高3mの荒波でも低速で安全に離着水できる機体でした。
その後、技術発展によって航空機にレーダーが装備されるようになると、飛行艇は哨戒の役割を終え、海上での救難が新たな役割として注目されるようになりました。救急搬送には離着陸が必須となることから、強い脚の取り付けが開発の重要な課題でした。旅客機と異なり、主翼が高い位置にある飛行艇は、脚を翼の下側に収納できないことから、実験を重ね、胴体に脚を収納することとなり、こうして開発されたUS-1は、後にエンジンを強化して、US-1Aと改称されました。
現在、フライ・バイ・ワイヤシステム(※3)、与圧キャビン(※4)などの改良がなされたUS-2が運用され、US-1から延べ千人以上を救助しています。

※1:侵入に備え、見張りをして警戒すること
※2:音波を発して物体の位置などを測るもの
※3:パイロットの操作を電気信号に置き換え、翼面やエンジン出力等をコンピュータ制御するシステム
※4:搭乗者の保護のため、機内の圧力を高めて地上の気圧に近づけること

・9月23日(休)まで企画展「岩国を知ろう!岩国の怪談×US-2」を開催しています。

▽岩国徴古館(いわくにちょうこかん)
昭和20年に旧岩国藩主吉川家によって建てられ、その後岩国市に移管された市立の博物館
住所:横山二丁目7-19
【電話】41-0452
休館日:月曜(祝日の場合はその翌日)

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